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コラム「おいしさ発見」

クスクス〜肉と野菜のうまみ凝縮〜

2007年09月26日

 24歳で初めて渡仏した時、クスクスをよく食べました。小麦を粗びきにしたスムールにシチューをかけた北アフリカ生まれの料理です。住んでいたパリ・モンマルトルの安いアパート近く、場末の店。肉なんて全然入っていない、汁だけの飯で全然おいしくない。ただ、1皿確か200円ぐらいと安く、おなかいっぱいになるのが、貧乏だった僕にはありがたかった。

写真

クスクス 撮影・越田悟全

 フランスでは庶民の味で、「クスクシェー」という3段の専用蒸し鍋で作ります。下段でスープを煮て、上段で野菜を蒸し、中段にスムール。スムールはスープと野菜両方のうまみを吸っておいしく仕上がるわけです。この本質を生かしつつ、日本でも作りやすい方法を考えました。

 肉は子羊(ラム)と鶏を選びましたが、苦手なら全部鶏でも結構です。塩をして一晩おいた肉を焼いた後、しっかり味が出るように水から煮ます。煮汁がたくさん必要ですから、水は「えっ」と思うくらいたくさん入れ、入りきらなければ適宜足します。羊肉を先に煮て、火の通りやすい鶏肉は後から加えます。

 スープができたら、タマネギ、ニンジンと煮えにくい野菜から入れていきます。本来野菜は蒸すので、火を通しすぎて形くずれしないように。スムールは輸入食品を多く扱うスーパーなどにあります。熱いスープをかけて30分ぐらい漬け蒸しします。2、3日は冷蔵庫で保存可能です。

 食べる時、唐辛子、キャラウェイなどで作ったハリッサという辛いペーストを添えるのが本式です。これも市販されていますから、お好みで試してみて下さい。

(「ル・マンジュ・トゥー」オーナーシェフ)


レシピ

【材料】(4人前)

子羊肩肉600グラム、鶏骨付きもも肉2枚、カブ4個、ニンジン1本、タマネギ1個、ズッキーニ(小)2本、赤ピーマン1個、カボチャ3分の1個(400グラム)、トマト2個、スムール200グラム、サフラン2つまみ、唐辛子2本、ハリッサ(なくても可)

(1)肉に重量の1%の塩をすりこみ、一晩おく。

(2)フライパンに油を敷き、肉を弱火でしっかりと焼く。

(3)羊肉を鍋に入れ、水5リットル、サフラン、唐辛子を加え中火で2時間煮る。鶏肉を加え、さらに20分煮る。タマネギ、ニンジンの皮をむき、丸ごと鍋に加える。

(4)カボチャの皮をむき、食べやすい大きさに切る。カブは葉とひげを切り落とす。赤ピーマンは焼きナスの要領で薄皮をむき、二つに切って中の種も取る。ズッキーニは輪切りにする。

(5)ボウルにスムールを入れ、(3)の煮汁300ccを加え、ふたをして30分蒸らす。

(6)肉を鍋から出し、カブ、ズッキーニを鍋に加える。トマトは皮をむきへたを取り、手でつぶしながら鍋に加える。カボチャは別鍋に煮汁適量を取って煮る。

(7)野菜に火が通ったら、肉を戻し、赤ピーマンを入れて温める。スムールを皿に盛り、肉、野菜を食べやすく切って盛りつける。煮汁にハリッサを適宜加え、塩、コショウで味を調える。煮汁をかけて供する。



プロフィール

谷 昇(たに・のぼる)
1952年、東京生まれ。18歳から料理の道へ。37歳で2度目の渡仏。アルザス地方の三つ星店「クロコディル」で修業。96年から東京都新宿区の「ル・マンジュ・トゥー」のオーナーシェフに。

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