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コラム「おいしさ発見」

菜脯蛋〜大根の甘み、じわっと〜

2007年10月31日

 みなさんはふだん、切り干し大根をどんなふうに使っていますか? 日本では、水でよく戻してから煮物にすることが多いようですが、中国料理では、さっと水につけただけで使います。干して凝縮されたうまみを、逃したくないからです。

写真

菜補蛋 撮影・越田悟全

 相性のよい豚肉といためたり、煮たり。あえ物、スープと幅広く使います。

 台湾でよく知られた料理のひとつが、切り干し大根を入れた卵焼き、菜脯蛋(ツァイプタン)です。大根の甘みが卵に溶け出して、口の中で、じわっと広がっていきます。

 そのままでは口当たりがモソモソするので、少し歯触りが残る程度に、大ざっぱに刻みます。どーんと前に躍り出るのではなく、料理全体のおいしさを持ち上げる役割をしています。

 そして、独特の風味とコクを添えてくれる材料が「冬菜(トンツァイ)」です。白菜を塩とニンニクで漬けた、中国・天津特産の保存食です。塩気が強いので、調味料の代わりにもなります。

 冬菜がなければ、タクアン、野沢菜、白菜漬けなどあるものでよいでしょう。漬物を入れることで、味に奥行きが出るのです。

 菜脯蛋を上手に作るコツは、火加減です。卵焼きに砂糖を入れると焦げやすいことは、ご存じですね。干して糖度が高くなった大根も同じです。普通の卵焼きの3倍の速さで、焼き色がつくと考えて下さい。

 初めは強火で、お玉で混ぜながら火を通し、丸く形作ったら、弱火にします。外はこんがり日焼け気味、中はミディアムに。ふんわり焼き上げます。

(「竹爐山房」主人)


レシピ

【材料】(4人前)

 卵3個、切り干し大根20グラム、冬菜のみじん切り小さじ1(タクアン、野沢菜、白菜などの漬物でもよい)、合いびき肉40グラム、万能ネギ(またはワケギ、ニラ)少々

 A(酒小さじ2、しょうゆ小さじ1、コショウ適宜)

 B(酒大さじ1、塩ひとつまみ、コショウ少々)

(1)切り干し大根は水でさっと洗う。水気を切ってから、粗くみじん切りにする。

(2)万能ネギを粗くみじん切りにする。

(3)合いびき肉をいため、Aの調味料で味をつける。いためたら、いったん、鍋から取り出し、ほぐしておく。いためる際に、ネギやショウガのみじん切りを加えてもよい。

(4)ボウルに卵を割りほぐし、切り干し大根を入れて混ぜる。冬菜、万能ネギ、いためた合いびき肉、Bの調味料も加えて混ぜ合わせる。

(5)よく焼いた中華鍋に多めの油をなじませ、大さじ3、4杯分を残して強火にする。

(6)(4)の卵液を一気に入れ、お玉で混ぜながら焼いていく。半熟になったら中央をこんもり高く、丸く形作る。火を弱め、鍋の中で卵を回しながら香ばしく焼き、ふわっと裏返して反対側も焼き、器に盛る。



プロフィール

山本 豊(やまもと・ゆたか)
1949年、高知県生まれ。東京・湯島の湯島聖堂内にかつてあった、中国文化の普及に取り組む書籍文物流通会で中国料理の修業を始める。87年、東京・吉祥寺に「知味 竹爐山房(ちみ・ちくろさんぼう)」を開店

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