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コラム「おいしさ発見」

鮭の粕漬け〜漬けるだけで違ううまさ〜

2007年11月28日

 年も押し詰まってきますと、たくさんの新巻鮭(あらまきさけ)が市場に出回り、いかにも師走を感じさせます。

写真

鮭の粕漬け 撮影・越田悟全

 日本で、鮭ほど親しまれている魚はないと思います。お弁当、おにぎり、粕汁(かすじる)、三平汁、氷頭(ひず)なますと、各家庭に伝えられた多くの食べ方があります。また洋風に薫製、バター焼き、フライ、マリネと楽しみ方がいろいろあります。近年は流通がよくなって、汐引(しおひき)鮭という塩辛い粉のふく鮭が少なくなり、生鮭、甘塩の鮭が増えてきました。

 さて、贈答品として粕漬けが百貨店などに並んでいます。そこで鮭を使ってご自分で粕漬けを作ってみてはいかがでしょう。これほど簡単なものを見逃す手はありません。ただ酒粕に漬けるだけのことで、塩鮭が違う魚に化けたようにおいしくなります。

 酒粕はできることなら軟らかいものを、酒屋さんまたはお酒のラベルを見て直接酒蔵に電話してみてください。「奈良漬けにする粕」と言うとよいでしょう。きっと手に入ると思います。

 粕を敷いた上にガーゼをのせて鮭を置き、ガーゼをかぶせて上を粕で覆います。2、3日漬けるだけで結構です。鮭の塩が甘い、濃いの別なくおいしいのです。ご自分の好みの鮭を選んで漬け、おすそわけをしたら、すてきなお歳暮、お年賀になることでしょう。1週間以上漬けても、おいしく食べられます。

 なお、鮭だけではなくサワラ、ブリ、鱈(たら)なども、濃いめの塩焼き程度の塩をあててから、同様に漬けてはいかがでしょう。

 粕漬けに使わなかった分は、砂糖を加えて甘酒、また粕汁にと、楽しみが広がります。

(原宿「重よし」主人)


レシピ

【材料】(4人前)

塩鮭(甘塩、中辛、辛口いずれでも構わない)4切れ、酒粕(軟らかいもの)600グラム

(1)保存容器に酒粕を1センチ程度平らに敷く。その上にガーゼをのせ、鮭を重ならないように並べる。上からガーゼをかぶせ、酒粕を同じ量、平らにのせる。

(2)冷蔵庫に入れ、2〜3日漬ける。さらに長くてもよい。

(3)ガーゼの間に入っている切り身を使う分だけ取り出す。水洗いはしない。十分に熱した焼き網で、中火から弱火でゆっくり焼く。粕は焦げやすいので注意する。

〈追記〉

 板粕と呼ばれる、板状になった酒粕しか手に入らなかった場合は、日本酒をふりかけてもんでほぐし、ぽってりとした状態になるまでゆるめて使うとよい。

 鮭は様々な価格のものが出回っているが、やはり上質のものを漬けると味もよい。漬ける日数は好みで。長く漬けるほど、酒粕のうまみが濃くなる。ほかにホタテ貝、筋子、カズノコなど漬けるとおいしい。今回は、鮭のほかにマナガツオ(写真右下)を使った。生魚の場合は、重さの4%程度の塩をふって1時間ほどおき、一度水洗いをする。水分をふき取ってから粕に漬けると生臭くならない。



プロフィール

佐藤憲三(さとう・けんぞう)
1944年、東京生まれ。22歳で日本料理の道へ。27歳のとき、修業先の名古屋の店の名前をもらい、東京・原宿に「東京・重よし」を開店。

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