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コラム「おいしさ発見」

ステーキ〜バターの泡で焼く〜

2007年12月12日

 ステーキはフランスでは日常のメニューです。フライパンで肉を焼く。単純ですが、それだけにコツがあります。

写真

ステーキ 撮影・越田悟全

 肉は2センチ程度は厚さのあるものを選んでください。今回はヒレ肉ですが、ロース、ランプなど好みで結構です。

 焼く前に肉を室温に戻します。そして、冷蔵庫から出した際、塩をふることが大切。置いておくうちに塩が溶け、浸透圧でじわりと肉の表面にジュースが出てきます。熱いフライパンに肉を入れたとたん、このジュースが固まって肉を覆い、うまみを閉じこめるのです。塩を直前にふると表面に凹凸があるまま焼くことになり、焼きむらや焦げの原因になります。

 ステーキは「泡で焼け」とよく言います。熱されてブクブク泡だったバターをすくい肉にかける。これを、泡がある限り何回も繰り返します。次第に肉からチリチリと水気が出てきます。これはバターだけができる技。香ばしさを与えると同時に肉の表面をコーティング。表面はピシッと焼けていて中はふわっとした焼き上がりになるのです。

 焼いた後は、肉汁を落ち着かせるため、焼き時間(3分程度)と同じだけ肉を置いて休ませるのもポイント。コショウは、焼く前では苦くなるので、焼き終わった後に。

 エシャロットとワインで作るベルシーソースをかけましょう。ベルシーは19世紀にワイン市場があったパリの地名で、周辺の居酒屋で安物の白ワインを利用したソースを使ったのが始まり。フランス料理では基本のソースの一つです。付け合わせには最もポピュラーなフライドポテトを添えました。

(「ル・マンジュ・トゥー」オーナーシェフ)


レシピ

【材料】(4人分)

牛ヒレ肉(約150グラム)4枚、バター(焼き用)20グラム、ベルシーソース(エシャロット50グラム、バター30グラム、白ワイン200cc、ワインビネガー20cc、みじん切りのパセリ適宜)

(1)牛肉を冷蔵庫から出し、塩適宜を振っておき、室温に戻す。

(2)ソースを作る。エシャロットをみじん切りにし、小鍋にバターと一緒に入れて中火にかける。いったんバターとエシャロットが一つに合わさった後、バターが分離してきたらワインとワインビネガーを加え煮詰める。味をみて塩とコショウを強めにふり、パセリを加え火をとめる。

(3)フライパンを強火にかけて温め、油をたっぷりめに敷き、肉を入れる。バターを加え、泡だってきたらスプーンですくい肉の上からかける。途中で肉を裏返しながら、泡がなくなるまでかけ続ける。

(4)肉を取り出して休ませてから、皿に盛りつけ、ソースをかける。

〈フライドポテト〉

(1)ジャガイモ3個の皮をむき、棒状に切って水によくさらす。水から引き上げて水気をふき取る。

(2)揚げ油を低温(約160度)に熱し、イモを入れる。イモを動かして空気に触れさせながら、表面が揚がった感じになったら油から引き上げる。

(3)揚げ油の温度を中温(約180度)に上げ、イモを二度揚げする。油の温度を徐々に190度まで上げ、きつね色に揚げる。熱いうちに塩適宜をふる。



プロフィール

谷 昇(たに・のぼる)
1952年、東京生まれ。18歳から料理の道へ。37歳で2度目の渡仏。アルザス地方の三つ星店「クロコディル」で修業。96年から東京都新宿区の「ル・マンジュ・トゥー」のオーナーシェフに。

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