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コラム「おいしさ発見」

なめたがれいの煮付け〜酒で煮てから好みに加減〜

2008年01月23日

 寒い冬の朝、前の晩の煮魚の残りの皿から煮こごった汁をごはんにかけて食べたのを懐かしく思い出します。

写真

なめたがれいの煮付け 撮影・越田悟全

 最近、煮魚が好きでない若い人たちの話を聞きます。魚の煮付けは大体骨付きのまま煮ることが多いので、食べるのが面倒くさいからだと言う人がいます。果たしてそれだけでしょうか。私はそうは思いません。

 魚を扱う方たちが、魚の最もおいしい季節、つまり旬を外したものまでも店頭に並べるせいではないかと考えるのです。旬を外した魚は鮮度がよくても、魚のにおいが鼻につくものです。ここに原因があるように思えます。

 煮魚がおいしいと感じることができれば、もっと興味を示し、ぜひ作ってみたいと思うようになると考えているのは私だけでしょうか。

 この時期、なめたがれいが大変おいしくなってきました。煮魚というと煮汁を作って煮るのが当たり前のようですが、魚は一つとして同じではありません。鮮度、大きさ、身の持つ甘さにより、同じ煮汁がふさわしいとは限りません。

 でも、難しいことはひとつもありません。まず酒で煮て、半分火が通ったところでしょうゆを加え、味見をして好みでみりんまたは砂糖で味の加減を調節する。そんな味の付け方をします。煮えたところでやさしく煮汁をかけながら詰め上げていきます。淡い味のものもよし、濃いめの味もよし。酒の肴(さかな)に、ごはんのおかずにと好みの味付けが家庭の味になるのです。

 食べる時に身の部分、骨の周り、それぞれの味の違いを楽しみながら食べるのも、煮付けのだいご味ではないでしょうか。(原宿「重よし」主人)


レシピ

【材料】(2人前)

 なめたがれい切り身(150グラム程度)2切れ、ショウガ1片、日本酒200cc、しょうゆ10cc、みりん(あるいは砂糖)適宜

 (1)切り身はぬめりを包丁でこそげ落とすかたわしで洗い落とす。身が厚ければ裏表に一筋切れ目を入れる。ショウガは薄切りにする。

 (2)鍋にショウガを敷き切り身を置き、酒を注ぐ。

 (3)中火にかけ、酒が沸いてきたら鍋を前後に揺らし、鍋と切り身の間に熱い酒を通すようにする。これで鍋に切り身がくっつかなくなる。

 (4)落としぶたをして、一煮立ちしたらしょうゆの3分の2量を加え、5分ほど煮て、汁の味を確認し、残りのしょうゆを加える。さらに2分ほど煮て甘みがほしければみりん(あるいは砂糖)を加え、煮汁を切り身にかけてつやを出しながら、煮汁が鍋底に少し残る程度まで煮る。

〈追記〉 ショウガの代わりにサンショウの実を入れて煮るとまた結構。鍋は切り身がすっぽりと収まる大きさのものを選ぶ。酒の量は鍋の大きさなどでも変わる。切り身の厚みの4分の3がつかる程度を目安にする。

 冷めたままでもおいしくいただけるが、冷めた煮魚を煮返したいときは、新たに水を魚の厚みの半分ぐらいまで加えて、温める。ただ、身に汁が染み込んで色がつく。



プロフィール

佐藤憲三(さとう・けんぞう)
1944年、東京生まれ。22歳で日本料理の道へ。27歳のとき、修業先の名古屋の店の名前をもらい、東京・原宿に「東京・重よし」を開店。

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