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コラム「おいしさ発見」

アジのエスカベーシュ〜深く揚げて漬け込む〜

2008年01月30日

 エスカベーシュは、いわばフランス版南蛮漬けで、揚げた魚を酢主体の調味液に漬ける料理です。発祥はスペインというのが定説です。でも、ある地域で突然発明されたものではなく、酢で食物を保存する古くからの人間の知恵が形作った調理法のように、僕には思えます。

写真

アジのエスカベーシュ 撮影・越田悟全

 使う魚はアジのほかに、キス、ワカサギも結構です。小さな魚でしたら、はらわたを取るだけで丸ごと揚げてください。

 調味液は、通常のドレッシングの割合ですと油分が多くて身がコーティングされてしまうので、酢の分量を増やしてあります。白ワインビネガーでなくても、レモンなど柑橘(かんきつ)類の果汁を使っても構いません。

 揚げる際は、急がずにゆっくりと。揚げた後に煮たり漬け込んだりする場合は、ふだんより濃い揚げ色にします。うっすらと色づいてきたら火を強めて油の温度を上げ、深めに揚げます。

 油から引きあげる際、はしでつかむと、油に入れる前の重さよりも軽くなっているはずです。揚げて身の水分が抜けたためです。深く揚げる時には、この重さの変化を感じることが大切です。

 熱いうちにドレッシングへ。2、3日漬け込んだほうが、酸味が入っておいしくいただけます。野菜はタマネギのほか、ニンジンやセロリの薄切り、香草などを一緒にしてもよいと思います。レタスやサラダ菜を皿に敷いた上に盛りつけると、サラダ感覚でいただけます。

 保存には金属の器は避け、ふたができるガラス製などの器がよいでしょう。

(「ル・マンジュ・トゥー」オーナーシェフ)


レシピ

【材料】(4人前)

 アジ(1匹180グラム程度)3匹、タマネギ120グラム、ドレッシング(白ワインビネガー100cc、オリーブ油200cc、マスタード10グラム、塩、コショウ各少々)、塩、強力粉、パルメザンチーズ、パセリ適宜

(1)アジは頭、エラ、はらわた、ぜいご、背びれを除いて水洗いし、筒切りにして塩を軽くふる。

(2)ドレッシングを作る。ワインビネガーとマスタードをボウルに入れ、塩コショウを加えて混ぜ合わせ、オリーブ油を少しずつ加えながら泡立て器でよく混ぜる。

(3)タマネギを薄切りにして、ドレッシングに加える。

(4)アジの水気をペーパータオルなどでふき取り、強力粉をまんべんなく薄くまぶす。フライパンに揚げ油を深さ3センチ程度入れて火にかけ、160度になったら、アジを入れる。揚げている間はフライパンを動かすか、はしでアジを動かして熱が均一に通るようにする。

(5)アジがうっすらと色づいてきたら火を強め、濃いめの色になるまで揚げる。

(6)アジを引きあげ、油を切って熱いうちにドレッシングに漬ける。

(7)粗熱が取れたら保存容器に入れて冷蔵庫で2、3日置く。

(8)皿に盛りつけ、粉にしたパルメザンチーズとパセリをふる。



プロフィール

谷 昇(たに・のぼる)
1952年、東京生まれ。18歳から料理の道へ。37歳で2度目の渡仏。アルザス地方の三つ星店「クロコディル」で修業。96年から東京都新宿区の「ル・マンジュ・トゥー」のオーナーシェフに。

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