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コラム「おいしさ発見」

清蒸時魚〜魚のうまみ味わい尽くす〜

2008年03月26日

 刺し身にするほど新鮮な魚を蒸して食べる。最もシンプルでぜいたくな、広東を代表する調理法です。

写真

清蒸時魚(チン・ジョン・シ・ユイ) 撮影・越田悟全

 アイナメ、タイ、イサキ、ホウボウ、ヒラメなど、その時に手に入る白身魚、何でも結構です。写真は沖縄・石垣島から直送してもらった赤ハタです。

 丸ごと蒸す場合は、短時間でまんべんなく火が通るよう、30分から1時間前に冷蔵庫から出して、常温に戻しておきます。

 火の通りをよくするために、身の厚いところには切れ目を入れます。夏場など魚の脂ののりが少ない時期は、背骨に対して垂直に数カ所切れ目を入れて、薄く切った豚の背脂をはさむとよいでしょう。

 ネギを敷くのも、魚の下に蒸気を通すためです。蒸し加減は、火を通しすぎず、骨から身が離れるぎりぎりの頃合いが理想です。

 蒸し上げた魚に、熱した油をかける調理法もありますが、今回は油と蒸し汁を鍋で合わせ、ソースにしました。うっすら煙が出るほど熱した油にネギとショウガを入れ、そこへ汁を加えます。

 どうでしょう、ジュワッと泡立って、香りも音も食欲をそそります。こうして、魚から出たエキスを身に戻し、魚のうまみと甘みを、味わい尽くします。

 様々なメニューをご紹介した「おいしさ発見」も、今回が最後です。切り抜いたのに、作っていないレシピはお手元にありませんか? 料理は作って初めて知ることが多々あります。季節が巡った折りに取り出し、お得意に加えて下されば、うれしい限りです。

(「竹爐山房」主人)


レシピ

【材料】(3、4人前)

白身魚1匹(300〜400グラム)、ネギ(白い部分10センチ分、青い部分は10センチを2本)ショウガ1片、香菜1枝、紹興酒大さじ3、しょうゆ大さじ2、コショウ少々

(1)魚はウロコを取り、腹を開いてワタ、エラを除いて洗う。頭や背びれ、胸びれの周りにウロコが残らないよう、小さいナイフで丁寧に処理する。

(2)魚の背骨に沿って、身の厚い部分に深さ1センチ程度の切れ目を1本入れる。裏側も同様にする。

(3)バットにネギの青い部分を2本並べ、魚をのせる。紹興酒大さじ2をふり、強火の蒸し器で15分ほど蒸す。

(4)ネギの白い部分を長さ5センチの太めの千切りにする。ショウガも千切りにし、香菜は粗みじんに切る。

(5)魚の背中にさいばしを刺して、身が骨から離れてほぐれるようなら、蒸し上がり。ネギを除いて魚を皿に盛り、蒸し汁は大さじ4杯分、とっておく。

(6)鍋を火にかけてサラダ油大さじ3を熱し、薄く煙が出るくらい熱くなったらネギ、ショウガの千切りを一気に入れて油の中で広げる。薄く色づいたら(5)の蒸し汁、紹興酒大さじ1、しょうゆ、コショウで味を調え、魚にかける。香菜を添える。



プロフィール

山本 豊(やまもと・ゆたか)
1949年、高知県生まれ。東京・湯島の湯島聖堂内にかつてあった、中国文化の普及に取り組む書籍文物流通会で中国料理の修業を始める。87年、東京・吉祥寺に「知味 竹爐山房(ちみ・ちくろさんぼう)」を開店

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