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おやじの昼めし 京橋玉次郎のお品書き

レトロ感とB級感と 八重洲「ホルモン酒場 合掌」

2010年8月10日

  • 筆者 京橋玉次郎

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1960年代の香り

 この店の見た目の場末感あるいはB級感がなんとも味わい深い。風でのれんが揺れるなどすると、映画のセットを見ているようだ。「ホルモン酒場」という文字から真っ先に思い浮んだのは1960年代、高度経済成長を間近に控えた、エネルギーに満ちた町々の風景だった。町も人も決して洗練されていなかった。しかし、いかにも明日を信じる熱気があった。

 この店、中に入ってもこのB級感は裏切られない。古い醤油の看板やセピア色の飲み物のポスター。昭和、それも前期の雰囲気だ。東京オリンピックの前後の居酒屋風とでもいえばよいか。が、それが驚き、なんとまだ開店して5年ほどだという。「セットのようだ」という直感もまんざら間違ってはいなかったようだ。それにしても見事に場末感、レトロ感、B級感、があふれている。

玉子もサービス

 頼んだ「豚キムチ焼ととりから」は、キムチ味のもやし、にら、にんじんなどの野菜が山をなしている。たっぷりの量だ。それに2個のから揚げ。ご飯も気取った店の大盛り程度はある。相当な腹ペコ組みでも納得できるだろう。そのほか他のメニューも写真を見れば分かるように、定食が680円から750円とリーズナブルなのがうれしい。

 店内は背中に「合」の字が書かれた、派手なオレンジ色のTシャツを着た兄さんたちが3人、おネエさんが1人。注文を受けて水の入った容器とコップを持ってきたおネエさんが「玉子どうします」と聞いてきた。サービスらしい。「お願いします」条件反射的に答えていた。どうもとっさの場合に、地の意地汚さは隠せないようだ。

補助椅子は日本酒ケース

 名前の通り酒場であり、ホルモン焼きが売り物なのだが、残念ながらランチメニューにホルモンはない。厨房をまかされて日が浅いが、将来は自分の店を持ちたいという料理長の岡さん(30)によれば、近くランチにもホルモンを使ったメニューを出すそうだ。

 カウンターが5、小上がりの座敷に6人掛け座卓が3。丸椅子4人がけテーブルが5。テーブルの周囲には詰めればさらに座れるよう、補助椅子にプラスチックの日本酒ケースが置いてある。ケースでしみじみ感を演出しているのか、単に実用の間に合わせで置いているのか。

空腹の日々を思い出す

 1960年代、仕送りなしでバイトと奨学金だけの学寮生活。若さのおかげで悲惨さは微塵もなかったが、見事にいつもお金がなかった。あれは井戸掘りのおいまわしのバイトをしていた頃のことだったか、ひどい空腹の帰り道、寒風のなかにいつも見かけたやや古びた「ホルモン焼き」の看板。ポケットの小銭を指先で数えてみつつ、あきらめて横目で通り過ぎた日々を思い出す。

 ところで、合掌という店名が珍しい。実は経営者の姓が合掌さんというのだそうだ。これはこれでまた珍しい。福井のほうの出身だそうだ。福井といえばカニ、永平寺、修業、寒い、雪、などという単語が頭の中に浮かぶ。姓の由縁にも興味を惹かれるが、それを深く追求するのは本欄の趣旨ではないのでこの辺で…。

【お店データ】

店名 ホルモン酒場 合掌

中央区八重洲1−4−6 〈地図〉 03−3272−1243

営業:〔平日〕午前11時〜午後1時30分、午後5時〜午後11時50分

   :〔土曜〕午後7時〜午後11時

日祝休み

<本日食したランチ>

豚キムチ焼きとから揚げ  750円

プロフィール

京橋 玉次郎(きょうばし・たまじろう)

 週2、3回のジム通いで運動不足を解消中。京橋・銀座・日本橋・八重洲・八丁堀中心の雑食的な昼めし散策のほか、天気のよい日に肩の力を抜いてサイクリングに出かけるのも楽しみ。元大手マスコミに勤務、不規則・不健康な記者生活36年だった。好奇心強く少し天邪鬼。1946年生まれ身長175センチ、A型。

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