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おやじの昼めし 京橋玉次郎のお品書き

質実剛健な寿司 銀座「たけぼ」

2010年8月17日

  • 筆者 京橋玉次郎

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満腹感の1.5人前

 生成りというのだろうか、寿司屋にしては珍しい明るい暖簾だ。昭和通に面した入り口を入る、カウンター7、テーブル席10人のこじんまりしたすし屋。通りがかりに祝開店の花輪が目にとまって入ったのが2年ほど前のこと。カウンターもつけ台もきれいな白木で清潔感のある明るい店内。この日頼んだのはにぎりの1.5人前。たっぷり大き目のネタとほどほどの飯、これを食すとかなり満腹感がある。

 もちろん食事は腹がふさがれば良いというものではない。うまくなければ興ざめだ。たけぼの寿司はいろんな点をクリアした上で、1人前800円、1.5人前で1000円という設定だから、コストパフォーマンスもかなり良い。にぎりはマグロ、白身、イカ、サーモンなどを中心にその日の材料でそろえるそうだ。これに味噌汁とカンパチの荒煮の冷やした小鉢がついてきた。わずかな量だが、荒煮の煮こごりがしっかりとした濃い味付けが好もしい。

にぎりは相手で変わる

 寿司という食べ物は食す状況によって期待され方が少々違う。腹ペコで、いわゆる食事として食したいときはしっかりした量の飯が欲しい、しかし少々飲んだ後で軽くつまむといった場面では、小ぶりでいいから気の利いた嗜好品的な寿司であって欲しい。なかなか勝手な注文だが、ベテランの寿司職人はその辺を心得ている。

 一見とっつきにくいが、話せば人のよさそうな館山育ちのおやじ(54)は、16歳のときから寿司にたずさわり、銀座に店を持つまでは、築地で握っていた。サラリーマンのひるめしには、シャリをたっぷりにして握っていたという。時と場所と相手をみてにぎるわけだ。ま、このへんの機をみて柔軟に応ずる呼吸は、客を相手にする商売の普遍的な極意のようなものなのだろう。

インテリの癖

 ところで、たけぼでは入り口脇の鉢で4匹の金魚が、ぶくぶくした泡をパクパクしながら出迎えてくれる。よく見ると金魚のほかにどじょうも4匹泳いでいる。ただここのどじょうは白っぽい。鉢の底に敷いてある明るい石に合わせているらしい。カメレオンほど劇的ではないが、どじょうも黒くなったり淡くなったり地味に変色する生き物だと聞いたことがある。

 たけぼという店名も変わっている。以前美術関係の客から「たけぼの意味が分からない。辞書でずいぶん調べたが出ていない」と尋ねられたという。何のことはない、親方の名前がタケオで、小さい頃から「たけぼう」と呼ばれていた。つづめてたけぼにしたという。どうもインテリというのは、物事を難しく考えたがる癖があるようだ。

【お店データ】

店名 たけぼ

中央区銀座1−19−12 〈地図〉 03−3562−3939

営業:〔平日〕午前11時30分〜午後2時30分、午後5時〜午後10時30分

日祝休み

<本日食したランチ>

にぎり1.5人前  1000円

プロフィール

京橋 玉次郎(きょうばし・たまじろう)

 週2、3回のジム通いで運動不足を解消中。京橋・銀座・日本橋・八重洲・八丁堀中心の雑食的な昼めし散策のほか、天気のよい日に肩の力を抜いてサイクリングに出かけるのも楽しみ。元大手マスコミに勤務、不規則・不健康な記者生活36年だった。好奇心強く少し天邪鬼。1946年生まれ身長175センチ、A型。

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