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おやじの昼めし 京橋玉次郎のお品書き

家族の店への愛情が伝わる 八重洲「蓬莱」

2011年1月25日

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想像力を刺激する店名

 蓬莱島には仙人が住み、そこには不老不死の薬があるといわれた。秦の始皇帝の命で東方の蓬莱島を目指した徐福が到達したのは日本だったという伝説が根強く残っている。徐福は中国を出るとき、稲や五穀の種子、農耕の技術や器具も持ってきたとも言われる。日本では弥生時代の初期だろうか。

 徐福伝説はおそらく日本の国ができる中で、大きな力を発揮した中国系渡来人のことを語り継ぐ中で、いつの間にか一つの固有名詞となってしまったのだろう、というのは素人の推測。

 最初から話が脇道へそれてしまった。ランチに戻そう。要は蓬莱という縁起が良い名前を見ているうちに、思いは広がってしまったということ。しかし、2代目の経営者である王さん(42)によれば、「祖父の故郷が山東省蓬莱県でした」ということで、この店名と徐福伝説とは関係なかった。

洗練された味

 今週のランチの先頭に書いてあった「豚肉とニンニクの芽のオイスターソース炒め」を注文する。細切りの豚肉と鮮やかな青のニンニクの芽と、少々の玉ねぎが入っている。もう少し濃厚な味の料理が出るかと思っていたが、思いがけずにあっさりとしていて洗練された味付けだ。ニンニクの芽もシャキッとした歯触りを良く残している。

 この店ではご飯がお櫃(ひつ)で出てくる。ざっと2人前以上のホカホカご飯が入っている。それを全部食すわけではないし、おかわりしなくても構わない。しかし、目の前にお櫃でたっぷりのご飯があるというのは、気持ちのいいものだ。米に特にこだわっているわけではないというが、ご飯も程よい歯ごたえでうまく炊けていた。

店を大事にしている

 手頃な飲食店が固まっている八重洲の路地。少しわかりにくいところだが、私の好きな一角だ。蓬莱はこじんまりした庶民的な店で、4人がけのテーブルが6卓と5〜6人座れる円卓が1つ。2時45分までやっているので、2時を過ぎてもポツリポツリと勤め人風のおじさんたちが訪れる。

 ところどころテーブルに空きができると、王さんの母親である先代の夫人と従業員の女性が、ステンレスのナプキン入れを布できれいに磨いている。さらにはメニューの表裏もていねいにふいている。店を大事にしているのが後ろ姿から伝わってくる。なぜか心和む光景だ。

壁に三国志の英雄

 壁に小ぶりのメロンくらいの大きさの面が4面(能や狂言は面と数え、夜店などのそれは枚と数えるらしいが、さてこれは・・・)額に入っている。近くの日本橋高島屋で物産展があった時、先代が職人と話が合い、描いてもらったものだという。

 向かって上左が劉備玄徳、上右が関羽、下左が張飛、下右が諸葛亮こと孔明。つまり三国志の英雄たちだ。三国志演義などから想像する豪傑たちよりずいぶん若くスマートだ。昨今話題の市川家の初代団十郎が始めたといわれる歌舞伎のくま取りと似ているが、歌舞伎と中国とどちらが本家なのかは知らない。

【お店データ】

蓬莱

東京都中央区八重洲1−5−10〈地図〉 03−3272−1624

営業:〔平日〕午前11時〜午後2時45分、午後5時〜午後10時30分(LO9時30分)

日祝休み

<本日食したランチ>

豚肉とニンニクの芽オイスターソース炒め 850円

プロフィール

京橋 玉次郎(きょうばし・たまじろう)

 心身のリフレッシュに週2、3回スポーツジム通い。京橋・銀座・日本橋・八重洲・八丁堀界隈の雑食的な昼めし散策のほか、天気のよい日に肩の力を抜いてサイクリングに出かけるのも楽しみ。時には温泉泊まりの輪行で古い街道を走ったり峠を越えたりも。元大手マスコミに勤務、不規則で不健康な記者生活36年だった。好奇心強く少し天邪鬼。身長175センチ、A型。

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