現在位置:
  1. asahi.com
  2. ライフ
  3. 食と料理
  4. コラム
  5. おやじの昼めし
  6. 記事

おやじの昼めし 京橋玉次郎のお品書き

裏通りの極小キッチン 八丁堀「伊呂波」

2011年5月17日

印刷印刷用画面を開く

Check

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真:  拡大  

写真:   拡大   

写真:   拡大   

写真:   拡大   

9人で満席

 私がこれまで寄った店の中で、多分一番小さな店だ。全体でざっと4坪。その中に厨房と客席があるのだから、おおよその想像はつくだろう。スツール5つのカウンター、4人掛けテーブルが1。狭い厨房の中でおねえさん、いや、かあさんといったほうが似合う女性が一人で奮闘している。

 「ハンバーグもらおうかな」、「半分のハンバーグと煮物がついたお得セットどうですか。それの方がいいと思いますよ」。ともに650円というリーズナブルな価格。お勧めに従う。すると、「ええと、タケノコ、シイタケ、コウヤドウフ・・・」と、カウンターの向こうから小さなつぶやきが聞こえてきた。煮物を小鉢によそっていたのだ。

これで650円とはうれしい

 ハーフのハンバーグと出汁巻き玉子がのった皿のほかに、くだんの煮物、さらに冷奴、漬物、ご飯とたっぷりの味噌汁が出てきた。盛りだくさんな料理はすべてかあさんの手作り。「うちは飲み屋ではない。キッチンです」と、言葉に力を入れる。なるほど気取りのない庶民の味だ。

 「特にこうした料理を作りたい、というこだわりがあるわけではないの」という。ハンバーグは、子供たちに作っていたハンバークそのものだし、他の料理も家庭で作っていた料理そのままだという。どれをとっても飾り気がなく素朴だ。家庭の味に遠のいている若い人などにとっては懐かしいに違いない。

 サバの味噌煮定食が600円、ハンバーグ定食とお得セットが650円と、銀座や日本橋から比べれば、八丁堀はリーズナブルな店が多いといいながら、これだけの料理がこの価格なのはうれしい。

外食というより家庭のキッチン

 「ほら、にぎやか通りじゃないでしょう。ほとんど常連のお客さんですよ」

 八丁堀の事務所街の裏通りのようなところだから、ふらりと人が立ち寄るような場所ではないし、注意していないと店があることすら見落としそうだ。12時から1時少し前がピークで、狭い店に入りきれず断ることも多いという。「少し時間をずらせてもらえれば、みんなに食べてもらえるのだけどね・・・」。というのだが、勤め人の昼時間は限られていて、自由にならないのがお互いつらいところだろう。

 昼下がりの遅い時刻、あれこれ世間話をしながら食べていたら、外食をしているというより、なんだか嫁いだ弟思いの姉(いればの話です)の家で、食事をごちそうになっているような気分がしてきた。そんな気分にさせる台所の延長のような店だ。

歯に衣着せない気さくな母さん

 この店の短所も長所も、店が狭いことと、きさくなかあさんの存在だろう。すぐ満員になってしまうが、その狭い空間が、手作り料理を一層家庭的なものにしている。歯に衣着せない物言いだが、根っからの人の好さは隠せないかあさんとの会話が楽しみで来るOLさんなどもいるとか。

 「少し疲れたかな。いつまで続けられるか・・・」などとつぶやいていた。当方とさほど違いない年回り、まだまだ大丈夫とお見受けしました。勤め人諸兄諸姉のために、明日も手作り料理を作ってください。

【お店データ】

東京都中央区八丁堀2−1−7〈地図〉 03−3552−5245

営業:〔平日〕午前11時〜午後2時、午後5時〜午後9時30分

土日祝休み

<本日食したランチ>

お得セット  650円

プロフィール

京橋 玉次郎(きょうばし・たまじろう)

 心身のリフレッシュに週2、3回スポーツジム通い。京橋・銀座・日本橋・八重洲・八丁堀界隈の雑食的な昼めし散策のほか、天気のよい日に肩の力を抜いてサイクリングに出かけるのも楽しみ。時には温泉泊まりの輪行で古い街道を走ったり峠を越えたりも。元大手マスコミに勤務、不規則で不健康な記者生活36年だった。好奇心強く少し天邪鬼。身長175センチ、A型。

検索フォーム


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介
  • 大人のためのグルメガイド 豊富な店舗情報やたくさんの料理写真で行きたいお店がよくわかる。
  • ポンパレ

フード・ドリンク

写真

ピザ、パスタ…おとりよせイタリアン(5/17)

本格イタリア料理を自宅でもっと気軽に楽しみたい! という方にご紹介したいのが、おとりよせで楽しむイタリアン。ピザやパスタに始まり、ぜいたくなフルコースまで、専門店の味がそのままに自宅のテーブルへやってくる。いつもの服装のまま、お酒もたっぷり楽しみながら、極上の料理を味わってみてはいかが?

写真

応援しよう!被災地近辺のこだわり地ビールたち(5/3)

暦が進み、気温も上がってくるといよいよビールの季節! そこで今回は、東日本大震災の被災地近辺にあるこだわり地ビールをピックアップ。どの銘柄も、今では元気に営業している醸造元のビールばかり。その味と香りを楽しんで、経済的に応援しよう!