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おやじの昼めし 京橋玉次郎のお品書き

のど越し繊細な稲庭うどん 銀座「佐藤養助」

2012年1月17日

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蕎麦とうどん

 いつも思うことだが、「蕎麦打ちが趣味」というおやじはいても、「うどん打ちが…」という話はあまり聞かない。似たような“粉もん”だが、どうも蕎麦とうどんは似て非なる立場にあるようだ。

 例えば、お互いに草深い田舎の生まれだが、一人はいつのまにか出世し少々ちやほやされて都会で粋な日々を送るようになったのに対し、他方は不器用なままに地味な人生を歩んでいる。そんな二人のようだ。もちろん前者が蕎麦であり後者がうどんである。私はそんな無骨なうどんも結構好きだったりするのだが…。

変わった店名につられて

 「佐藤養助」という文字が目に入った。某日の銀座数寄屋通り、店名にしてはずいぶんと変わっている。近寄って観察する。どうも稲庭うどんの店らしい。料理屋のような垢抜けた店構えにもつられ、日を改めて訪ねてみた。

 構え同様、店内もうどん屋という名に似合わない洒落た和食処のような雰囲気。一人客の婦人があちこちで静かにうどんを食している。そんな風景がしっくりする店だ。稲庭といえば言うまでもなく秋田。見れば薬味を入れる器なども秋田杉でできている。

細く絶妙の弾力

 欲張って温と冷のセット1200円というのを頼んだ。最初に出てきた温かいうどんは、そうめんに近いほどの細さで、澄んだ汁の中にそお〜と沈んでいた。食してみれば、病人食でもあるかのような繊細さで素直にのどを通ってゆく。

 次に、すべすべした光沢をもった冷たい麺を、あっさりした上品なつゆにつけてすする。絶妙な弾力のある歯応えとスルスルとしたのど越しは、一般に抱くうどんのイメージとはかなりかけ離れている。うどんでないようなうどんだ。がさつに食すのを拒否し、少し気取って扱うことを当方に求めているようでもある。

弾力とコシとのど越しは、これも定評のある富山の大門素麺を思いださせる。ランチにはごはんがつく。うどん以外にもきりたんぽや比内地鶏などの秋田料理もある。

350年の歴史

 店の奥の壁に稲庭うどんの「由来記」が額に入れて飾ってある。店のパンフなどと合わせ要約して紹介してみよう。今から約350年前に羽後の否庭村の稲庭(佐藤)市兵衛が稲庭うどんを作り始め、秋田藩の御用品となった。一子相伝で技法は門外不出だったが、万延元年(1860年)、江戸では桜田門外の変のあった年だが、技法が途絶えるのを懸念し、宗家の四男から養子に出た佐藤養助に製法を伝授した。明治半ば以降、製造法を一般にも公開してから、広く食べられる様になり、佐藤養助も現在で7代目に至っている。

 製法の特徴は、良い水と厳選された塩と専用粉をてのひらで練り続けた後、 一旦寝かして熟成させ、さらに練ってゆく手作業にあるという。こうして丹念に練り上げていくと、機械練りでは不可能な、空気穴をたくさん含む消化の良いうどんができるのだとか。

 佐藤養助、秋田では湯沢町を中心にいくつかの店舗を展開しているが、東京進出は銀座店が初めてで、今年で5年になる。

【お店データ】

店名 銀座 佐藤養助

中央区銀座6−4−17 〈地図〉 03−6215−6211

営業:〔平日〕午前11時30分〜午後3時(L.O.2時45分)、

午後5時〜午前2時(L.O.午前1時30分)、土日祝は〜午後10時

無休

<本日食したランチ>

冷 温うどん 1200円

プロフィール

京橋 玉次郎(きょうばし・たまじろう)

 心身のリフレッシュに週2、3回スポーツジム通い。京橋・銀座・日本橋・八重洲・八丁堀界隈の雑食的な昼めし散策のほか、天気のよい日に肩の力を抜いてサイクリングに出かけるのも楽しみ。時には温泉泊まりの輪行で古い街道を走ったり峠を越えたりも。元大手マスコミに勤務、不規則で不健康な記者生活36年だった。好奇心強く少し天邪鬼。身長175センチ、A型。

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