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おやじの昼めし 京橋玉次郎のお品書き

昭和の雰囲気そのまま 銀座「中華三原」

2012年1月31日

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日陰の渋い袋小路

 レトロという言葉を広辞苑でひいてみると、『復古調。懐古的。ある時代の様式を真似た様。また、それをこのむこと』とある。この店の場合、レトロというより昭和のある時期そのものを缶詰にして保存したかのようだ。華やかな晴海通りから数歩入っただけで、こんな空間が残っているのだから銀座という街は面白い。

 袋小路の入り口の頭上には7つ割りの看板があるが、生きているのは三原ともう一つだけ。残りは白く塗られている。ある時期はにぎやかな路地だったであろうことが推測される。こんな路地にたまらなく惹かれるのはたんなる性癖なのか、あるいはなにか前世の因縁でもあるのか。

たっぷりの野菜と麺

 私が頼んだのはタンメン650円。野菜がたっぷり山盛り。一口スープを含めば、癖がなくまったく素直でうまい。野菜をのけてみると、下には細い麺が身を寄せるように固まっている。やや固ゆでだったが、ほぐして食べ進めるうちに程よい硬さとなり、食べ終わる頃に少し柔らかめになってきた。なかなかいい塩梅だ。

 値段からして、麺の量は少ないのだろうなと漠然と思っていたが、予想外にしっかり入っている。一般的な店のより多い感じだ。聞けば通常より大きな麺玉を使っているのだという。コストパフォーマンスは抜群だ。さらにラーメンに至っては450円。銀座でこの価格、これでうまいのだから人気がないはずがない。

「揚焼きそばがチョーうまいっす」

 というわけで、開店から午後2時ごろまでは、サラリーマンたちで毎日列ができる。できている列を見て回れ右をする人も多い。

 「タンメンが評判ですが、揚焼きそばがチョーうまいっすヨ」と、外の喫煙所にいた若い男女。限られた昼食時間なので、この店を狙ってきても列を見てあきらめる時が多いのだが、この日は短かったので入ったという。

 近くに勤める美容師とかで、かなり奇抜な雰囲気の若者たちだった。今風若者と古びた中華料理店の組み合わせも面白い。しばらく雑談をしたが、別れ際に「じゃ」と彼らは手を差し出してきた。思いがけない動作だった。二人と順に握手をして別れた。

コック1人で大車輪

 待っていると頃合いを見て愛想の良いおばちゃんが外に顔を出して事前に注文を取る。店内はカウンター8席、テーブルの椅子席が10席。低いカウンターの向こうの厨房は丸見えだ。壁際にスープのはいった寸胴と思しき大鍋、その左にならぶ平鍋で麺をゆで、右の二つの鍋で炒め物などをする。

 時代劇で殿様役でもすれば似合いそうな端正な雰囲気のおにいさんが、背中を向けて、たった一人で次から次へと黙って注文をこなしてゆく。厨房にはおばちゃん二人が手元をしているが、にいさんの手際はほれぼれするほど鮮やかだ。

 店の創業は東京オリンピックがあった昭和39年(1964年)と聞く。確かに今もその頃のままの空気が流れている。夕方は午後6時30分に閉めているので、勤め帰りに寄ろうと思う向きは急いだほうがよい。

【お店データ】

店名 銀座 中華三原

中央区銀座5−9−5 〈地図〉 03−3571−4359

営業:〔月〜金〕午前11時15分〜午後3時、午後5時〜午後6時30分

〔土〕午前11時15分〜午後3時

日祝休

<本日食したランチ>

タンメン 650円

プロフィール

京橋 玉次郎(きょうばし・たまじろう)

 心身のリフレッシュに週2、3回スポーツジム通い。京橋・銀座・日本橋・八重洲・八丁堀界隈の雑食的な昼めし散策のほか、天気のよい日に肩の力を抜いてサイクリングに出かけるのも楽しみ。時には温泉泊まりの輪行で古い街道を走ったり峠を越えたりも。元大手マスコミに勤務、不規則で不健康な記者生活36年だった。好奇心強く少し天邪鬼。身長175センチ、A型。

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