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おやじの昼めし 京橋玉次郎のお品書き

あわあわと上品な鯛茶漬け 銀座「あさみ」

2012年2月7日

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板さんの手元ながめつつ

 注文を受け、カウンターの向こうで板さんが鯛のさくに包丁を入れる。そんなはずはないのだが、スーッ、スーッと音が聞こえるような気がする。小鉢に盛り、特製の胡麻だれを十分に添える。さらに赤芽を添えて、かなりたっぷりのおろしわさびを載せる。小首を傾げての包丁をさばく動作は見ていて飽きない。

 目の前に並べられたのは鯛、しんとり菜のおひたし、キュウリとクラゲの酢の物、漬物。それぞれが洒落た器に盛られている。そしてふた付きの碗に入ったご飯と土瓶に入った熱々の緑茶が出る。デザートは白玉ぜんざい。これで1500円。

スーッと変わる色

 あわあわとはかないような薄い桃色をおびた鯛の切り身。胡麻だれを絡めご飯を頬張ってみる。しこしこした弾力の鯛と、やや濃い目の胡麻だれとご飯が絶妙なハーモニーをかなでる。ワシワシと食いたい誘惑にかられるが、ここは味わいつつゆっくり食す。

 頃合いを見計らい鯛と胡麻だれをご飯にのせ、熱い茶を注ぐ。薄いピンクだった鯛の表面がうっすらと白くなる。たっぷりのわさびをのせ、さらさらとかきこむ。濃かったタレが程よい味つけとなり、やんごとないような上品な茶漬けとなる。この店、この価格、この味、満足度は高い。

 店は、著名老舗料亭などが点在する銀座8丁目にある。外に派手な看板やメニューが出ているわけではない。料理店だと思わせるのは黄緑色の落ち着いた暖簾。暖簾には左隅にさりげなく「あさみ」と小さく書いてある。うまい和食を食せる名店として知る人ぞ知るの人気があり、確実に食すには予約したほうが良い。

 

心配りの香立て

 引き戸を開けて店にはいると右手が厚さ4〜5センチはあろうか、ヒノキ柾目のカギの手のカウンター、左手が座敷と個室になっている。入り口近くのカウンターに座る。メニューなどはなかったが、予約してあったので多くの会話は必要ない。

 待つ間、壁の棟方志功の版画などをぼんやり眺めたあと視線を足元に落とすと、壁際の床にさりげなくゴルフボウルより少し大きな物体があった。香立てだ。聞いてみると、開店の十数分前に線香をたき、残り香がちょうどよくなるよう按配しているという。

 “真実は細部に宿る”ということわざがある。目立たないところまでしっかり心配りしている店はまず間違いがない、と私の経験則は語っている。天井に目を移すと、見かけない感じの材が幾何学模様に使われている。桐の古材だそうだ。珍しい。秀逸な照明といい味わい深い天井のつくりといい、腕の立つ人の手になるものなのだろう。

伝説の料亭で修行

 店主の浅見健二さん(52)は、ミシュランの3つ星を断ったことで知られる伝説の割烹「京味」で修行の後、2000年にあさみを開店した。浅見さんのもとで修行した板前さんが、やはり銀座で評判の和食の店を出してもいる。

 現在3人の弟子が修行している。うち一人はこの店で初めての女性。外野席としては、「良い処で修業しているね。しっかり学んで下さい」。そして「みんな頑張れ」と心中応援したのであった。

【お店データ】

店名 あさみ

中央区銀座8−16−6 〈地図〉

03−5565−1606

営業:〔平日〕午前11時30分〜L.O.午後2時、午後5時〜午後11時

       ランチは材料が終われば終了も。

       夜は13000円〜20000円コースの予約のみ。

日祝休み

<本日食したランチ>

鯛茶漬け 1500円

プロフィール

京橋 玉次郎(きょうばし・たまじろう)

 心身のリフレッシュに週2、3回スポーツジム通い。京橋・銀座・日本橋・八重洲・八丁堀界隈の雑食的な昼めし散策のほか、天気のよい日に肩の力を抜いてサイクリングに出かけるのも楽しみ。時には温泉泊まりの輪行で古い街道を走ったり峠を越えたりも。元大手マスコミに勤務、不規則で不健康な記者生活36年だった。好奇心強く少し天邪鬼。身長175センチ、A型。

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