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おやじの昼めし 京橋玉次郎のお品書き

“究極の親子丼” 八重洲「今井屋本店」

2012年2月14日

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素通り出来ないのぼり

 風に揺れるのぼりには「究極の親子丼」と書かれている。究(きわ)めて最後に到達したところの丼、つまり、それ以上の親子丼はこの世には存在しないということだ。穏やかでない。こんな文字を見ては、おやじは素通りするわけにはゆかない。

 「究極の○○」という文字は、京橋の某店の暖簾にも見かけたことがある。もちろん行列の後について入ったのは言うまでもない。その店が今でも究極を名乗っているかどうかは知らない。久しぶりに見るコピーだ。今井ののぼりにはさらに日本三大地鶏最高峰 比内地鶏使用などの文字もあった。

 東京駅の八重洲北口から外堀通りを渡ったところ。地下への階段を下り、ほの暗い店内に入る。「いらっしゃーい」と声をかけてくれたのは、愛くるしいお姉さんだった。心を和ませるような飾り気のない笑顔だ。

香り高い鶏肉

 席に着いたらまず黒豆のほうじ茶を出された。手元のメニューを眺める。いや、眺めたふりは一瞬で迷わず親子丼1100円を注文する。醤油にするか塩にするかの味付けを問われたが、一般的な醤油とする。じっと待つ。「いよいよ私は究極の親子丼を食すのだ」と、期待は高まる。

 出てきた丼のふたを取る。まず肉片を頬張ってみる。上質な鶏肉の心地よい歯ごたえと香りが口中に広がる。味は深いがくどさのない素直な肉だ。柔らかい玉子はたっぷりの汁とともにご飯によくしみている。もう少し柔らかければ、親子丼というより卵かけごはんという範疇にはいりそうだ。その辺の危うさも悪くない。

究極の根拠は…

 この親子丼の特徴を店長の小松真作さん(42)に聞いてみた。それによれば、まず秋田の上質な比内地鶏と卵を使っている。鶏はいったん炭火で半分くらい焼いて味と香りを閉じ込めてから調理するなど独特の工夫をしている。汁も鶏がらスープを中心にして、秋田で作っている。

 こうして、現時点でできる限り良い素材と調理にも工夫を凝らしているので「究極」としているという。味も悪くないし、ご飯の大盛りも無料とか。しかし、私的な好みを言わせてもらえば、もう少し自慢の鶏肉が入っていて欲しかった、かな。

 店は元来比内地鶏のやきとりと秋田料理が売り物で、きりたんぽ鍋や水炊きなどもある。やきとりにも水炊きにも鶏鍋にも「究極」というコピーが使われている。

期待値と満足度

 ところで、ランチの「満足度」は他の買い物などの経済行為と同じで、期待値と商品との算術で決まる。ワンコインのランチでも期待値以上(思いがけず)にうまければ、満足度は高い。逆に、数千円(この価格になるといやでも期待値は高くなる)のランチでも、その期待に応えられなければ満足度は低くなる。コストパフォーマンスとは似ているが別な物差しだ。

 そういった意味で、「究極」というような文字は、期待値を高めるコピーとしては秀作だが、その使い方は一面でリスクのある難しいコピーだろう。

【お店データ】

店名 八重洲今井屋本店

中央区八重洲1−5−3 〈地図〉

03−6202−0088

営業:〔平日〕午前11時〜午後2時30分、午後5時〜午後10時30分

   :〔土曜〕午後3時〜午後9時30分

日祝休み

<本日食したランチ>

究極の親子丼 1100円

プロフィール

京橋 玉次郎(きょうばし・たまじろう)

 心身のリフレッシュに週2、3回スポーツジム通い。京橋・銀座・日本橋・八重洲・八丁堀界隈の雑食的な昼めし散策のほか、天気のよい日に肩の力を抜いてサイクリングに出かけるのも楽しみ。時には温泉泊まりの輪行で古い街道を走ったり峠を越えたりも。元大手マスコミに勤務、不規則で不健康な記者生活36年だった。好奇心強く少し天邪鬼。身長175センチ、A型。

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