現在位置:
  1. 朝日新聞デジタル
  2. ライフ
  3. 食と料理
  4. コラム
  5. おやじの昼めし
  6. 記事

おやじの昼めし 京橋玉次郎のお品書き

手軽に食すふぐぞうすい 銀座「いとう」

2012年3月6日

印刷印刷用画面を開く

Check

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真:  

写真:  

写真:  

写真:  

 銀座でふぐ専門店と聞けば、善良かつ小心な市民としては思わず構えてしまうのはやむを得ないところだが、ぞうすいだけなら手軽に楽しむことができる。

意外と庶民的

 歌舞伎座の裏手にあたる3丁目の比較的静かな通り。打ち解けた感じの入り口から階段を2階へ上ると、割烹風の白い暖簾がある。

 カウンターの向こうのがっしりした体躯のおやじさんと、気さくそうなおばちゃんが迎えてくれる。意外と庶民的な雰囲気が流れている。魚の定食数種は800円、ふぐぞうすい1000円。リーズナブルだ。

 午後もピークを過ぎた遅い時間、私がこの日最後の客かもしれないなどと思いつつ、ふぐぞうすいを頼む。他に客のいない気軽さから、今日は晴海から富士山が見えなかったとか、あるいは富士山が見えると縁起が良いような気がするとか、他愛ない雑談をしながらぞうすいの出来るのを待つ。

馴染み客のいる風景

 と、スーツの下にウールのベストという、人品卑しからぬ初老の紳士が入ってきた。一見の客でないのは空気からわかる。テーブルの席に着かんとする客におばちゃんが声をかける。「もう終わりです」。「全部?」。「いいえ、いわしが…」。「じゃ、鮭で」。

 それだけで過不足なく会話が成立していた。紳士はほとんど言葉を発することなく、淡々と鮭のかま焼き定食を食し、「ごちそうさま」と一言残して、静かに出て行った。店と馴染み客の絵に描いたような風景だった。

土鍋にたっぷり

 「熱いから気をつけてください」。ぞうすいは釜と表現したほうが良いくらいの深い土鍋で出てくる。ぐつぐつと湯気を立て、たっぷりの量で、ふぐの身も皮もちゃんと入っている。一口目は少し物足りないような淡い味付けだが、付いている昆布の佃煮と漬物をつまみながら食べ進めると、ちょうど良い按配だ。

 だんだん体が温まってくる。胃には優しいが頼りないようにも思えるぞうすいだが、これだけ量があれば十分だ。店主の伊藤寛敏さん(66)によれば、「ほかにおかずがつかないから」若い男性客などにはもっと大盛りにするという。

養殖と輸入のふぐ

 店は4人掛けテーブルが4、カウンターに4席、小上がりの座敷、というこじんまりしたつくり。テーブル脇の小さな置物に書かれた文字を読んでみたら、「創部80周年法政大学体育会ラグビー部」と書かれてあった。もちろん伊藤さんのものだ。「学生時代はそれがすべてでした」。

 ところでふぐ。近年は養殖の技術が向上し、なまじな天然ものに劣らないという。生産量も国内産だけに限定すれば、漁獲量に迫る数字になっている。さらにそれらを合わせたものより大量のふぐが輸入されている。

 かくして、かつては高級料亭でしか食せなかったふぐも、ちょっと高級ながらも一般的なものとなり、庶民にも身近なものとなったわけだ。ちなみに、この店も夜はふぐの専門店となるが、その価格はコースで10000円。

【お店データ】

店名 いとう

中央区銀座3−13−17 〈地図〉

03−3541−4325

営業:〔平日〕午前11時30分〜午後1時30分、午後5時30分〜午後10時

日祝休み(グループの予約があれば営業)

<本日食したランチ>

ふぐぞうすい 1000円

プロフィール

京橋 玉次郎(きょうばし・たまじろう)

 心身のリフレッシュに週2、3回スポーツジム通い。京橋・銀座・日本橋・八重洲・八丁堀界隈の雑食的な昼めし散策のほか、天気のよい日に肩の力を抜いてサイクリングに出かけるのも楽しみ。時には温泉泊まりの輪行で古い街道を走ったり峠を越えたりも。元大手マスコミに勤務、不規則で不健康な記者生活36年だった。好奇心強く少し天邪鬼。身長175センチ、A型。

検索フォーム


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介
  • 大人のためのグルメガイド 豊富な店舗情報やたくさんの料理写真で行きたいお店がよくわかる。
  • ポンパレ

フード・ドリンク

極上の豆腐をお取り寄せ!(3/6)

栄養価が高いのに、カロリーは控えめ。畑の肉ともいわれる大豆から作る「豆腐」は、今や世界的な人気を誇る優れた食材だ。今回は原料や製法にこだわった定番の絹ごし豆腐をはじめ、島豆腐や豆腐のみそ漬けなど珍味もご紹介。そのまま薬味としょう油で、煮込んで鍋や湯豆腐で、ほかの食材と合わせていためものや焼きもので、和洋中さまざまなレシピでご賞味あれ!

写真

ハートをくすぐる、ホワイトデーのおくりもの(2/28)

3月14日はホワイトデー。バレンタインデーのお返しに、ココロ悩ませている男子も多いのでは? そこで今回は、女子のハートをくすぐるプレミアムスイーツや、大量購入にもピッタリなお手ごろスイーツをご紹介。家族や友人をはじめ、職場や趣味の仲間たちなどへ気軽にプレゼントしてみよう。