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おやじの昼めし 京橋玉次郎のお品書き

路地裏に光る上品な中華 築地「紅蘭」

2012年3月13日

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 築地の路地にひっそりとある小さな中華の店だが、ホテルオークラで修業したオーナーシェフが作る中華は上品で掛け値がない。

文字通りの家族経営

 ガラス戸に紅蘭と赤い文字で書かれた引き戸を開けると、10席のカウンターとキッチンが目に飛び込んでくる。カウンターは6割がた埋まっていた。入り口に近い所に座る。メニューは目の前にあるが、チャーシュウネギラーメン900円、野菜炒め定食1000円、盛り合わせ定食1000円の3種類だけとシンプルだ。

 ラーメンにしようか少し迷ったが、野菜炒め定食を頼む。シェフがキッチンの一番奥で野菜を炒め、壊れ物でも扱うかのようにそーっと、随分ていねいに皿によそる。その皿を盆にのせ、ご飯とワンタンと漬物をそろえるのは夫人。それを娘さんが目の前に出してくれる。そう、この店は夫婦と娘さんの家族3人でやっているのだ。

遠慮しつつ醤油を使う

 材料も炒め具合もごく平均的な野菜炒めだが、味付けが大層上品にできている。とりあえずそそくさと昼飯を済まそうとする私のようながさつな手合いには、正直なところ少々薄味過ぎる。

 胡椒だけならともかく、料理した人の目の前で醤油までを使うのは少し勇気がいる。ではあるが胡椒と醤油をかけたら、ご飯が進む自分好みの味となった。ワンタンも同様に上品な仕上がりだったが、こちらはほんわかとした味わいで、何も足す必要もなく、何も引く必要もないうまさだった。

意外性の魅力

 これは独断と偏見だが、ある種の意外性もこの店の魅力だ。というのは、昭和がそっくり残っているような渋い路地にあり、店自体もレトロな構えのごく小さな中華料理店でありながら、料理そのものは大層上品な味にできている。このギャップが何とも味わい深い。

 また、これを意外性といっては失礼だろうから、おやじの独り言としてそっと書いておくが、キッチンをてきぱきと手際よく仕切る夫人も娘さんも、真っ白なエプロン姿が似合う、洗練された都会風な美人だ。

アットホームの温かさ

 私が座った右手後ろに階段があり、2階の座敷へ通じている。一方、調理場には小さなエレベーターがあって、これに料理を載せるとすかさず娘さんがトントンと2階へあがって対応する。料理を作るのは1人、母娘の二人で切り盛りだから、ずいぶんと忙しそうだ。

 そんな中、古い馴染み客なのだろうか、一人の老人が食事を終え杖を突きながら立ちあがった。動作が少し頼りない。すかさず娘さんが出てきてゆらりと揺れる体を支え、何事か語りかけながら送り出した。

 「お客さんに損はさせません」と、ていねいな料理を心がけるシェフが一人だけなので、夜はフリーの客を迎えるまでの余裕はない。6300円からのコースを予約した客だけとしている。夜訪れたのは数年前になるが、ここの本来の持ち味は夜の本格中華のコースにあるように見えた。店は常連に愛され、京橋で15年、築地へ移って16年になる。

【お店データ】

店名 紅蘭

中央区築地2−8−8 〈地図〉

03−3546−6007

営業:〔平日〕午前11時30分〜午後2時、夜は予約のみ

土日祝休み

<本日食したランチ>

野菜炒め 1000円

プロフィール

京橋 玉次郎(きょうばし・たまじろう)

 心身のリフレッシュに週2、3回スポーツジム通い。京橋・銀座・日本橋・八重洲・八丁堀界隈の雑食的な昼めし散策のほか、天気のよい日に肩の力を抜いてサイクリングに出かけるのも楽しみ。時には温泉泊まりの輪行で古い街道を走ったり峠を越えたりも。元大手マスコミに勤務、不規則で不健康な記者生活36年だった。好奇心強く少し天邪鬼。身長175センチ、A型。

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