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おやじの昼めし 京橋玉次郎のお品書き

ガード下で60年 有楽町「割烹 喜仙」

2012年4月3日

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 赤レンガの頭上はJR有楽町駅だ。山手線や京浜東北線がほとんど途切れることなく発着している。その高架下には飲食店を中心にいろんな店が並んでいる。

遠赤外線でジュージュー

 喜仙はそんな店の一つだ。注文を受け、サバの切り身を遠赤外線オーブンに入れる大将の後ろ姿が、カウンター越しに見える。焼けるまでの7〜8分、盆に漬物、冷奴、ご飯、味噌汁などを並べ、最後に焼きあがったサバを皿にのせる。店は大将一人だけでやっている。

 出てきた大きなサバは、焦げ目の付いた皮からあぶらがジュウジュウといっている。箸を入れると程よい弾力がある。醤油をかけたおろしを載せてほおばると、ホクホクと表現したくなるほど柔らかく、しっかりあぶらがのっていい味をしている。

はるばる北欧産のサバ

 このサバ、ノルウエ―産だという。大きくてあぶらがのっていて、おかずにはぴったりというのでもっぱらそれを使っているという。

 ノルウエーといっても村上春樹、家具、ヴァイキングくらいしか思いつかない。そのくらい馴染みのない遠い国からもこうして日常的な食材が入ってきているというのだから、現代というのはすごいもんだ。あ、そうそう、思い出した。家にいる猫がノルウエー原産の猫だった。

コメは「こしいぶき」

 話を戻して定食。やや硬めに炊かれたご飯は、米粒が立っていて大層うまかった。最近になって使う米を「こしひかり」から、その血統を受け継ぐ「こしいぶき」に変えたという。このコメはこしひかりが親の「ひとめぼれ」と「どまんなか」の交配種で、ここ数年で名を知られてきた米だとか。世に「良いとこ取り」という言葉があるが、こういうことを言うのだろう。

 大将である中町守孝さん(51)によると、コメはアルカリイオン水で炊いている。この水で炊くとコメはふっくらと炊けるし、調理に使うとカツオや昆布の出汁が出やすくなり、料理が一層うまくなるとか。ちなみに隣の蛇口は酸性水で、これを使うとそばやパスタが早くゆだるという。

DNAは隠せない

 店は昭和26年(1951年)に新潟生まれの祖父中町喜作さんが創業、守孝さんが3代目となる。終戦後間もなくからやっている計算だ。厨房のある半地下のフロアにカウンター席6と4人掛けテーブル2卓、2階が10数人入れる座敷になっている。

 ガード下ではあるがホームの下にあるためか、意外にも電車の音や振動はほとんど感じない。階段の途中の壁に秘密の冷蔵庫がある。常連客から「なにか旨い酒はないかい?」と尋ねられた時の用意に、ここに限定酒のいくつかを秘蔵している。客の9割以上が男性だそうだ。

 洋食もいい、中華も韓国料理もうまい。タイ料理も好きだ。しかし焼き魚でうまいコメのメシを食していると、しみじみとしたうまさとともに、ほっと安心するような気分がしてくる。日本人のDNAが刺激されるのだろうか。

【お店データ】

店名 割烹 喜仙

千代田区有楽町2−9−4 〈地図〉

03−3231−2085

営業:〔平日〕午前11時30分〜午後1時30分、午後6時〜午前1時

土日祝休み

<本日食したランチ>

さばの焼き魚定食 950円

プロフィール

京橋 玉次郎(きょうばし・たまじろう)

 心身のリフレッシュに週2、3回スポーツジム通い。京橋・銀座・日本橋・八重洲・八丁堀界隈の雑食的な昼めし散策のほか、天気のよい日に肩の力を抜いてサイクリングに出かけるのも楽しみ。時には温泉泊まりの輪行で古い街道を走ったり峠を越えたりも。元大手マスコミに勤務、不規則で不健康な記者生活36年だった。好奇心強く少し天邪鬼。身長175センチ、A型。

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