現在位置:
  1. 朝日新聞デジタル
  2. ライフ
  3. 食と料理
  4. コラム
  5. おやじの昼めし
  6. 記事

おやじの昼めし 京橋玉次郎のお品書き

庶民的な老舗蕎麦屋 銀座「木挽町 砂場」

2012年5月22日

印刷印刷用画面を開く

Check

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真:  

写真:  

写真:  

写真:  

 蕎麦屋で砂場系といえば更科系、藪系とともに東京の三大名跡の一つだ。しかしこの店はこうした老舗名跡にありがちな取り澄ましたところがないのがいい。

お得感のランチセット

 例えばランチのセットメニューだが、ミニ丼(親子、カツ、穴子天とじ)+ミニそばが700円、ミニ丼+もりorかけが900円。女性などはミニミニセットを、しっかり食べたい向きは900円の満腹セットを選べばよい。すこぶる庶民的な内容だ。

 満腹セットの親子丼ともりを頼む。蕎麦は色が白く淡い味わいで、気温が上がり始めた季節の昼下りののどに心地よい。ただ、そば汁が思いのほかソフトだ。これはこれでうまいのだが、江戸前のから口を想像してすすると少し勝手が狂う。親子丼は汁けがたっぷりでこれもソフトな出来具合。総じてクセのない万人向けの味とでもいうのだろうか。

暖簾のルーツは江戸時代

 庶民的ではあるが暖簾(のれん)は古い。店の説明によれば江戸時代に麹町の番町で創業した「番町砂場」が始まり。娘婿が暖簾分けして薬研掘りに店を構え、明治36年に当時木挽町と呼ばれた銀座の現在地に移り今に至っているという。

 蕎麦屋に限らず昔の屋号などは、出身地や自然や地理的な特徴からつけられたことが多い。近江屋、三河屋、上州屋など多分出身地なのだろう。江戸に多くあったものとして「伊勢屋、稲荷に犬のくそ」といわれた伊勢屋などもきっとそうだ。

 その伝から藪蕎麦は藪の中かそばにあったからそう呼ばれたのであろうことは容易に想像がつくし、更科が蕎麦どころの信州と関係があるであろうことも想像の範囲内だ。しかし、砂場とは…?と漠然と思っていた。久しぶりに砂場に寄ったのでこれを機に少し調べてみた。

意外にも大阪の発祥

 そもそも食文化としての蕎麦は江戸で発達したものと思っていたが、砂場は意外にも大阪が発祥だった。大阪城築城の折たくさんの労働者が集められたが、そのうち砂置き場の近くにそばを売っていた店が数軒あった。砂場にあったということで、そのうちの何軒かが「砂場」と通称されて店名となって続いてきた。三大名跡の中では一番の老舗なのだ。

 その後、江戸中期になって江戸に進出してきた。現在、暖簾分けが進み砂場系の蕎麦屋は150軒以上あるらしい。しかし「砂場」はこの店の壁にも看板が掲げてあるように登録商標がされており、誰でもが名乗れるものではない。

おかみさんは川柳作家

 店は歌舞伎座の裏手、昭和通に近いあたりにある。比較的にぎやかな通りの歩道に面している。店を仕切る女将と白い上っ張りの数人のおばちゃんたちが庶民的な味を出している。私より少々年長のきびきびとした女将さん、実は知苦里女(ちくりめ)の雅号の川柳作家。作品集もあるし某カルチャー教室の講師もしていた。

 「みんな年で蕎麦の味も年取ってしまった。いつまで店を続けられることやら」などと、本気とも冗談ともつかない心細いことを言う。そんなことは言わずにこれからもずっとお得感のある昼めしを食べさせてほしいものだ。

【お店データ】

店名 木挽町 砂場

中央区銀座4−11−2 〈地図〉

03−3541−7631

営業:〔平日〕午前11時〜午後3時30分、午後5時30分〜L.O.午後9時20分

   :〔土曜〕午前11時〜午後3時(不定期の休みあり)

<本日食したランチ>

ミニ親子丼ともりのセット 900円

プロフィール

京橋 玉次郎(きょうばし・たまじろう)

 心身のリフレッシュに週2、3回スポーツジム通い。京橋・銀座・日本橋・八重洲・八丁堀界隈の雑食的な昼めし散策のほか、天気のよい日に肩の力を抜いてサイクリングに出かけるのも楽しみ。時には温泉泊まりの輪行で古い街道を走ったり峠を越えたりも。元大手マスコミに勤務、不規則で不健康な記者生活36年だった。好奇心強く少し天邪鬼。身長175センチ、A型。

検索フォーム


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介
  • 大人のためのグルメガイド 豊富な店舗情報やたくさんの料理写真で行きたいお店がよくわかる。
  • ポンパレ

フード・ドリンク

写真

揚げ物たっぷりおとりよせ(5/22)

揚げ物といえば、夕食やお弁当のおかず、ビールのおつまみなど、幅広い世代から支持される定番メニュー。今回は、専門店の味を自宅で気軽に楽しめるおとりよせならではの人気商品をピックアップ。プリプリのえびかつや、さくさくジューシーなくし揚げ、神戸牛のプレミアムコロッケなど、いずれも食材にとことんこだわった逸品ぞろいだ。

写真

職場の人気者!個別包装の差し入れスイーツ(5/15)

職場やホームパーティーなど人が多く集まる場所への差し入れには、個別包装のスイーツが断然おすすめ。その場ですぐに配れるのはもちろん、袋入りなので手を汚さずに食べられるのが大きなポイント。持ち帰りにも便利で、受け取る側への心遣いもバッチリだ。今回は、味や素材にも徹底してこだわった、えりすぐりの差し入れスイーツを紹介しよう。