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おやじの昼めし 京橋玉次郎のお品書き

カツカレー誕生の店 銀座「グリル スイス」

2012年5月29日

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 昭和20年代を中心に活躍したプロ野球スターに猛牛・千葉茂という人がいた。日本のカツカレーの歴史はこの人の一言で始まった。

60余年、昔ながらの味

 銀座のガス灯通り、昭和の初期からあるというキャバレー「白いばら」や創業117年の洋食屋「煉瓦亭」など古い銀座が残る並びで60余年、昔ながらのカレーの味を守っている。

 この店の名物は千葉さんのカツカレー1365円(元祖カツカレーは1050円)。皿の左側にキャベツ、寄り掛かるようにカツ、隣にご飯。たっぷりのカレーがかかっている。カレーは、すりおろした種々の野菜と挽肉を煮込み、2週間の手間をかけて作るという。

 スパイス中心でさらさらしたインドカレーとも、小麦粉を使ったヨーロッパ風カレーとも違う独特なソースだ。どうも、「独特な」としか気の利いた表現が見つからない。ただ私には少し塩味が強いように感じられた。

スープも変わっている

 先に出されたスープが変わっている。見た目はどう見ても普通のポタージュだが、味はこれまでに経験したことがない変わった味だ。聞いてみたらむきアサリと昔風の厚みのあるベーコンで出汁をとってポタージュにしているという。

 カレーもそうだが、戦後のものがひっ迫していた時代、いろんなもので工夫してなんとかおいしい洋食を作ろうとした工夫の名残なのだろうか。そうだとしたら、これらのレシピもささやかな「文化遺産」のようなものなのかもしれない。

早くがっちり食いたい!

 千葉茂選手の話。年配者か相当の野球好きくらいしか知らない名前になっているのかもしれないが、当時は川上、青田などと共に誰もが知っているスターだった。背番号3を長嶋茂雄選手に譲ったのも知られたエピソード。

 当時、巨人軍のユニフォームは銀座の洋服店で作っていたのが縁で、千葉選手が試合前後やプライベートで良くスイスに寄ったという。ある日の対阪神戦の前、「早く食いたいし、沢山も食いたい」ということで思いついたのが、「カレーライスにカツを乗っけてくれ」だったとか。当時は意表をつくトッピングだったが、あっという間に全国に広まったという。

 カツは勝つに通ずるとゲンをかつぎ「カツカレーは勝利の味がする」なんていう同選手の色紙も飾ってある。ここのカツカレーはボリュームがある。私は特に勝たねばならない相手もいないので、肩に力を入れず、最後のほうはやや持て余しつつ完食した。

時計は昭和で止まっている

 テーブルが席数20数人という小さな店内。ずっと店を見守ってきたママの庄子静子さんが、今もこちらの心を和ませるような優しい笑顔で迎えてくれる。静かで落ち着いた洋食屋だ。この店の時計は昭和のままで止まっているに違いない。

 狭い店ではあるが、回転率を上げるための「食事が済んだら早く出ろ」的なオーラも流れていない。客層も年配のご婦人連れや若いカップルなど様々だが、どちらものんびりした雰囲気で静かに食事をしていた。

 余談だが、かつて近鉄バッファローズというチームがあったが、チーム愛称を公募したところ、一番多かったのが監督をしていた猛牛・千葉茂にちなむ「バッファローズ」だったという。愛された人なのだろう。

【お店データ】

店名 グリル スイス 

中央区銀座3−5−16 〈地図〉

03−3563−3206

営業:〔平日〕午前11時〜午後8時

火曜休み

<本日食したランチ>

千葉さんのカツレツカレー 1365円

プロフィール

京橋 玉次郎(きょうばし・たまじろう)

 心身のリフレッシュに週2、3回スポーツジム通い。京橋・銀座・日本橋・八重洲・八丁堀界隈の雑食的な昼めし散策のほか、天気のよい日に肩の力を抜いてサイクリングに出かけるのも楽しみ。時には温泉泊まりの輪行で古い街道を走ったり峠を越えたりも。元大手マスコミに勤務、不規則で不健康な記者生活36年だった。好奇心強く少し天邪鬼。身長175センチ、A型。

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