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おやじの昼めし 京橋玉次郎のお品書き

旬の素材を丁寧に 銀座「三亀」

2012年6月19日

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 銀座数寄屋通りの6丁目、緑色だった暖簾がいつの間にか麻の生成りのそれに変わり涼しげな風情を漂わせている。夏近し。小さな小料理屋だが創業60余年の老舗、根強いファンのいる店だ。

形式が決まっている定食

 サケの焼いたのと肉じゃがを定食にしてもらう。この店の昼は形式が決まっていて、まずメインの刺身・焼物・煮物から好きな品を選ぶ。ご飯、味噌汁、小鉢、香の物、フルーツは共通。メインは1品でも3品でも選べる。

 焼きたてのサケの切り身は大きくて厚みがある。箸をつけるとホワホワっと身がほどけ、薄めの塩味で上品に仕上がっている。私好みの粒立つように炊かれたご飯にまことによく合う。うまい焼き魚とうまいご飯というのはいいものだ。しみじみ日本人だと思う瞬間でもある。

気分がゆったりしてくる

 肉じゃがはピンポン玉ほどの新じゃがが4個と人参、そしていうまでもなく牛肉。じゃがいもは長崎産だそうだ。これもくどさのないあか抜けた味になっている。私としては肉もいもも、もうちょっと欲しいところだったが、この「もう少し・・・」と思いが残るところも旨さの記憶を一層強くするのかもしれない。

 いつもはがさつな自分であるが、こんな料理を食していると、店の雰囲気と合わせてかいつのまにか気持ちがゆったりとしてくる。香の物はしょうが味のきいたキュウリとナスの古漬けとかぶ。わずかな量だったが、手抜きされていないのがいい。フルーツはスイカだった。

人気小説の舞台に

 店内は白木のカウンター5席と、木目を生かしたがっしりした作りのテーブル4卓。こじんまりしている。おやじさんが客席と厨房の間で目配り気配りをきかせている。2代目店主の南条勲夫さん(73)だ。その厨房には3人の板前さんが立ち働いていた。

 料理自体がうまいのと、小粋だが気取りのない店内の雰囲気もあってか、粋人のファンも多いようだ。90年代のなかば、某経済新聞に「失楽園」という渡辺淳一の小説が連載された。性描写が評判となり、普段は経済に無縁の人まで某紙を購読したとかしないとかいわれるほど話題になった小説だ。

 その中で主人公が三亀で友人と待ち合わせる場面がある。挿絵には主人公たちと厨房のおやじが描かれており、その原画が壁に飾ってあった。ボールペンで「サラサラッと、あっという間に描いてしまったよ」とおやじさんは感心していた。

 

岩手山田町からの珍客

 客がすっかり引けたところへ、初老の夫婦が入ってきた。素朴な感じで、銀座でちゃらちゃら昼飯を食い歩く人種とはどうも少し違った。岩手県山田町でシイタケ栽培35年という名人だった。褒章を受けることなって岩手県山田町から上京したついでに寄ったという。

 三亀ではその品質にほれ込んでずっと使い続けてきたそうだ。某飲食店ガイドで星がついた料理屋とシイタケ農家のおやじ同士が銀座の一角で親しく話しているというのは、なかなか良い風景だった。ただ、そのシイタケも放射能騒ぎで一時出荷を制限されているとか。気の毒な話だ。

【お店データ】

店名 三亀

中央区銀座6−4−13 〈地図〉

03−3571−0573

営業:〔平日〕正午〜午後2時、午後5時〜午後10時(L.O.午後9時30分)

日祝休み

1品定食1300円、2品1950円、3品2950円。

<本日食したランチ>

2品定食 1950円

プロフィール

京橋 玉次郎(きょうばし・たまじろう)

 心身のリフレッシュに週2、3回スポーツジム通い。京橋・銀座・日本橋・八重洲・八丁堀界隈の雑食的な昼めし散策のほか、天気のよい日に肩の力を抜いてサイクリングに出かけるのも楽しみ。時には温泉泊まりの輪行で古い街道を走ったり峠を越えたりも。元大手マスコミに勤務、不規則で不健康な記者生活36年だった。好奇心強く少し天邪鬼。身長175センチ、A型。

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