
2008年12月4日
石臼引きの粉
蕎麦はおやじのランチの定番中の定番の一つ。しかも時は新蕎麦の季節。江戸の庶民はとりわけ初物を珍重したが、蕎麦も例外でなかった。というわけで、にわか江戸っ子ながら、界隈の蕎麦屋にひとわたり思いめぐらし、味とコストを総合してまずは山形田。京橋は鍛冶橋通りに面した山形銀行の隣のビルの中2階にある。蕎麦屋然とした蕎麦屋ではない。
なかなかの人気店で、12時30分を過ぎて訪れるといくつかの人気メニューは売り切れている。その人気メニューというのは、限定20食のそば粉100%「十割蕎麦」と、限定40食のつなぎ1割の「外一蕎麦」。それぞれ石臼で引いたのが売り物。売り切れ前にと思って、程良い時間に行けば、これまた行列が必要と、なかなか悩ましいところもある。
歯応え、味、香り
しかし、人気2品に限らず「田舎蕎麦」や「冷やし地鶏蕎麦」も秀逸だ。田舎蕎麦は黒々して、歯応えもしっかり。味も香りも十分。「蕎麦はかまずに喉で切るものだ」などという通人もいるが、いかな通人もここの蕎麦を、かまずにのむことは少々難しかろう。そのくらい腰がある。
というわけで、ここの田舎蕎麦は「手繰る」というより、やはり「食う」という表現以外は思いつかない。しばらく前に、蕎麦にうるさい友人を連れて行った。一言あるかと待っていたが、珍しく黙って食べていた。
青年会議所の店
養蚕の盛んな山形で、人寄せのときに板で蕎麦を振舞ったのが板蕎麦の始まりと聞いたことがあるが、確かめたわけではない。新潟にはヘギ蕎麦なるものがある。地方によっていろんな食べ方をされるものだ。ま、それだけ蕎麦という食べ物が、庶民の間で手軽に広く食べられ続けてきたということだろう。
この店、山形の青年会議所の人達が始めたもので、すでに開業10年目。「君どこの出身?」。「山形だ」。ふるさとを忘れぬようにと「山形田」という名前にしたという。一見したときはその語呂に座りの悪さを感じもしたが、慣れてきたらこれはこれでいいネーミングに思えてきた。
時に達磨大師気分
ゆっくり蕎麦を食べて一休み、といった向きはこの店は敬遠したほうが賢明だ。店内はうなぎの寝床のように狭い。入り口を入って券売機で食券を買い、元気の良いおねえさんに手渡すと、背中合わせのカウンター席の空いているところへ座ることになる。店内を通るときは、無神経に歩くと食べている人の背中を小突きそうなので、慎重にゆっくり進むことをおすすめする。
壁に向かうカウンターに陣取った場合は、じっと目前の壁を見ながら達磨大師とまではゆかなくとも、来し方行く末に思いをめぐらしつつひたすら蕎麦を食べることになる。まあ、たまにはそんな時間があっても良いかもしれない。
人気の売れ筋は以下の4品か。 田舎板蕎麦630円(本日食した蕎麦)、 外一蕎麦780円、 十割蕎麦840円、 冷やし地鶏蕎麦 680円。
山形田
東京都中央区京橋2−5−15〈地図〉 03−3535−9410
営業時間:午前11時〜午後10時(土曜・日曜・祝祭日休み)
〈本日食したランチ〉
田舎板蕎麦 630円

1946年生まれ。週2、3回のジム通いで運動不足を解消。ウエストが5センチほど細くなり、昼の焼肉・トンカツにも食指が動くようになった。過去30余年の不規則な記者生活から解放された。昼めし散策のほか、通勤時の読書と休日のサイクリングが楽しみ。元大手マスコミ勤務のA型。身長175センチ。
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