
2008年12月26日
麦飯と唐辛子
浅漬けのキャベツの上に5枚のたん焼きが載っている。ご飯は麦飯。テールスープが付く。すでに味の付いているたんは程良い焼き加減と少し硬めの歯ごたえ。この手の個性的な食べ物は頻繁に食べると飽きるが、時々妙に食べたくなることがある。キャベツの浅漬けも、これはこれで1品とカウントできるくらいにパリパリした食感が快い。麦3割でお変わり自由という麦飯。米の飯と比較すれば、明らかに味覚において劣る。だが、「これも健康的」と思うと、なんだか旨く思えるから、味覚などというものはいい加減だ。
わずかのシラガネギとふた切れの肉片が入った透明なテールスープも、淡白な薄味ながらなかなか味わい深い。テーブルの上には小鉢に入った山盛りの唐辛子の味噌漬けが置いてある。初めての時は恐る恐る箸をつけてみた。思ったほど辛くない。味噌味でなじんでいてなかなかうまい。若いときならこれだけでご飯1杯は食べられた。
座敷に昭和の郷愁
八丁堀交差点近く、新大橋通りに面している。大きな看板と暖簾が目立つので、注意してゆけば見逃すことはなかろう。1階はイス席とカウンターで全くの使い込まれた居酒屋風、2階が座敷になっている。玉次郎は1階のイス席より2階の座敷が好きだ。年期を感じさせ、きれいな座敷とはいいがたい。しかし、昭和の香りを色濃く残す雰囲気はたまらなくおやじのノスタルジーをくすぐる。今回も1階に空席はあったが、頼んで2階に行かせてもらった。
座敷では作業着の若者達が、「ご飯おかわり」などと叫ぶ一方、OLたちの一行がすでに食べ終えて、横座りになって雑談をしている。作業着も背広もOLも混在して違和感がない。麦飯つながりだろうか、トロロ定食などというメニューもある。ただし、これにはたんは付かない。
粋な言葉の遊び
ところで助六という言葉。思い起こすのは、歌舞伎か、いなり寿司と海苔巻きの詰め合わせか、だろう。この店の名は、歌舞伎からとられている。江戸で忠臣蔵と並ぶ歌舞伎十八番「助六所縁江戸桜」で、助六が「・・・花川戸の助六よ」と口上を述べるくだりがある。ここの女将が浅草花川戸の生まれで、今もそこに住んでいる。で、この名前にしたという。その大柄で華やかな印象の女将は1階でシャキシャキ歯切れよく客をさばいている。
で、いなり寿司と海苔巻きの詰め合わせを助六と呼ぶいわれ。それには江戸っ子の洒落た語呂遊びがあるのは知られたところ。アゲ(いなり寿司)とマキ(海苔巻き)のセットだからアゲマキ。アゲマキなら揚巻。揚巻とくればその彼氏の助六。というわけで助六と呼ばれるようになった。なかなか粋な言葉遊びだ。1年ももたずに忘れられる昨今の流行語大賞などとはすこし味わいが違う。
よいお年を
脱線してしまったが話を牛たんに戻そう。界隈には数軒のたんの店があるが、価格・味・店の雰囲気を総合して助六は真っ先に思い起こされる店だ。昼の主なメニューは牛たん焼定食1050円、同大盛り1470円、牛たんシチュー定食950円、麦とろ定食750円、ステーキ定食1000円、牛たん煮込み定食750円。
ところで、今年も残すところわずか。でも、「もういくつ寝るとお正月」というときめきが無くなって久しい。これは自らの齢のためか、時代の雰囲気なのか。よく分からない。・・・末筆ながら、皆様良いお年を。
助六
東京都中央区八丁堀3−20−6〈地図〉 03−3551−9705
営業:午前11時〜午後2時15分、午後5時〜午後10時ラストオーダー(土昼だけ)(日祝休み)
<本日食したランチ>
牛たん焼き定食 1050円

1946年生まれ。週2、3回のジム通いで運動不足を解消。ウエストが5センチほど細くなり、昼の焼肉・トンカツにも食指が動くようになった。過去30余年の不規則な記者生活から解放された。昼めし散策のほか、通勤時の読書と休日のサイクリングが楽しみ。元大手マスコミ勤務のA型。身長175センチ。
ちょっとした割れ欠けや傷などの理由で、商品にできないものも多いという食品業界。しかし、見た目は少々悪くても、家庭で楽しむならば安い方がうれしいはず! 味・価格・量を重視する人ぴったりの「訳あり」商品で、美味をたっぷり楽しもう。
一日のやる気のもとは朝食から! ときには専門店のベーグルや有名店のデニッシュなどおいしいパンを取り寄せて、ちょっとしたぜいたくを楽しんでみては? おなかも心も満たされて、気持ちよくスタートを切れるはず。