
2009年6月9日
半信半疑
「すっぽんを食べさせる店がある」と仲間が言う。かつて京橋にはすっぽん料理を出す小さな味わい深い料亭があったが、女将をしていたおばあちゃんが年をとり昨年廃業した。閉めるとき店で使っていた徳利とぐい飲みをもらった。今それは一輪挿しとクリップ入れになっている、というのは余談。この店のほかにすっぽんを出すところは界隈にはないはず。
頭の中のデータベースに検索をかけても、すっぽんという言葉は引っかからない。わずかな疑いを残しつつ教えられたとおりに訪ねてみる。確かにあった。その場所は私には一昨年廃業した蕎麦屋と記憶されていた。廃業の張り紙を見てから訪ねたことがなかったので、その後がどうなったか知らなかった。すっぽん屋になっていたとは。
フグに劣らぬ雑炊
いくつかメニューはあったが、ここは直球勝負で「すっぽん雑炊」を頼んでみる。雑炊の約束どおり卵でとじて刻んだ細ネギが載っている。黄色い3〜4ミリの黄色い玉のようなものも数個見える。これはすっぽんの卵だという。その小さな卵をそっとつまんで口中で潰すと、鶏卵の黄身のような味わいがする。
すっぽん料理というのは過去一度しか食したことはない。そのときの味覚などすっかり忘れている。したがって、ここのそれがすっぽん雑炊としていかなる位置にあるのか、残念ながら判断できない。ただ、時々食するフグの雑炊に決して劣らず美味であることは確かだ。食べ進めるとふやけきった昆布のような切れ端が時々現れる。これがすっぽんそのもののようだ。それ自体にはほとんど味はしない。
どっと出る汗
ご飯と雑炊はおかわり自由という。いかにも胃に優しそうなのでおかわりを頼んでみる。熱いものを食べたためか、あるいは食べ物自体の性格なのか、とにかく暑くなる。顔や胸や背中から汗が滴る。サウナへ入っているようだ。いっそ、真夏の暑い盛りに挑戦するのも良いかもしれない。
フグは比較的リーズナブルに食せる店も増えているが、すっぽんは高価な料理という先入観があったし、今でもある。しかもクラシックで今風でないご馳走、というイメージも拭いきれない。そのためかどうか、それを売り物にする店は少ない。それが800円というのは“お得”な気分がする。
3匹がお迎え
店内は以前の蕎麦屋と変わらないシックな造りだ。洒落た飛び石の入り口を進むと、水槽の中に子供用野球グローブくらいの大きさの、すっぽん3匹が甲羅を見せている。テーブル席、テーブルの個室、座敷と別れており、利用の仕方によっては便利そう。
すっぽん料理を始めたのは今年の4月から。まだ始めて間もないというわけだ。それにしても、800円という価格でおかわり自由。本当に大丈夫なのだろうかと、こちらが心配になる。ぶっかけ蕎麦にカレーライスがついて900円などと気になるメニューもある。ちなみに、すっぽんは鹿児島産で、夜はコースもある。
すっぽん 松島
東京都中央区八重洲2−2−1 住友生命ビルB1 〈地図〉 03−5201−6533
営業:〔平日〕午前11時30分〜午後2時、午後5時〜午後10時
〔土曜〕午後5時〜午後10時 日祝休み
<本日食したランチ>
すっぽん雑炊 800円

1946年生まれ。週2、3回のジム通いで運動不足を解消。ウエストが5センチほど細くなり、昼の焼肉・トンカツにも食指が動くようになった。過去30余年の不規則な記者生活から解放された。昼めし散策のほか、通勤時の読書と休日のサイクリングが楽しみ。元大手マスコミ勤務のA型。身長175センチ。
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