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福岡・久留米ラーメンざんまい

2011年1月31日

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写真:イタリア料理店で食べたキャベツのぺペロンチーノ=福岡市中央区イタリア料理店で食べたキャベツのぺペロンチーノ=福岡市中央区

写真:久留米の人気ラーメン店「モヒカンらーめん」の「とんこつ飯」とラーメンセット久留米の人気ラーメン店「モヒカンらーめん」の「とんこつ飯」とラーメンセット

写真:「焼き替玉」に残したスープをかけてもらう「焼き替玉」に残したスープをかけてもらう

写真:丼にもモヒカンマークが丼にもモヒカンマークが

写真:老舗「来福軒」の焼きめし。あっさりパラリ=いずれも久留米市老舗「来福軒」の焼きめし。あっさりパラリ=いずれも久留米市

 JR博多駅に降りる。「ああ思い出すなぁ、高熱の日々…」。改札を通りながら押しかけ先・ユウさんはトホホ顔になった。福岡で昨秋、デング熱に倒れて入院した。お腹に間借り人が入居したての私も「ゲゲゲの時代」だった。

 大好きな街なのにいい思い出がない。今度こそおいしいものを。元同僚たちと4人で入ったイタリア料理店で、ぺペロンチーノ・スパゲティを大盛りした。キャベツがたっぷりでお好み焼きみたい。むせながら食べた30分後、隣の大食漢は言い出した。「全然、食べ足りないんですけど」。出た、ラーメン好きの小池さん魂。前回はインドから帰国直後なのに食べられなかった。まぁ許そう。天神にある「五行」というおしゃれ系ラーメン店に寄った。女性1人でも入りやすいし広い。福岡に住んでいたころも行ったっけ。看板メニューの「焦がし醤油ラーメン」にする。麺が太めで真っ黒なスープなのだった。辛そうにみえるけれど深みがあって醤油一直線じゃない。おまけに油脂の膜がスープを覆っているのか全然冷めない。「新潟の燕三条系ラーメンみたい」。あまりの熱さに足をジタバタさせながらラーメン男は言った。

 夜は久留米に移動する。ネオンまたたく文化街に消えた相方は、地元の人に聞いたお勧めのラーメン店でしめたらしい。「いやあ、昼間のラーメンがAKB48なら、さっき食べたのはトワ・エ・モアですね」。なぜか1970年前後に活躍したデュオの名前を挙げた。そんなたとえ、よく思いつくな…。

 豚骨ラーメン発祥の地・久留米には何度も来ているけれど、姉宅の近所にある「清陽軒」がお気に入りで、食べ歩いたことがない。少しは開拓しよう。2人でめざしたのは「モヒカンらーめん味壱家」だった。開店10分前に着く。雪の舞うなか10人ぐらい並んでいた。スタッフたちは半そで姿で店頭に立ち、大声で叫んでいた。「私たちは笑顔のプロであるっ!」「ラーメンのプロであるっ!」。なんだか威勢がよさそう。

 「モヒカンらーめん」と「とんこつ飯」のセットにした。待ちながらモヒカン刈りスタッフをじっと見る。2つの金網ザルを両手で操り、麺の湯を切っている。麺が飛び交いラクロスみたい。じーっと熱い視線を送っていたのか、ニッコリ笑顔で返された。「もうちょっと待ってくださいね」。

 お待ちかねのラーメンはスープがほどよい辛さでドンピシャリだった。替え玉を頼んだのに飲み干してしまいそう。「感動しますね。昨夜の店がトワ・エ・モアなら、ココはクリスタルキング」。向かいの声は相変わらず我が道をいく表現をした。

 「とんこつ飯」は熱々の鉄鍋に盛られた卵かけご飯をかき混ぜて、フォークで崩してもらう。残したスープを入れていただいた。「中華おこげ」のような焼き飯のような。特に気に入ったのが、300円で追加した「焼き替玉」だった。鉄鍋にのった細麺にレンゲ6杯分のスープをかける。外はカリカリ、中はモチッ。いいぞモヒカン、スタッフの笑顔もいいしおいしいしワクワクする。クセになりそう。

 それにしても炭水化物ばっかりだ。「炭水化物って消化の途中でたんぱく質になったりして…」。そうだったらいいのにね。

 もう久留米を去るころ「旅行者バネ」が大食いの2.5人を弾けさせた。もう1軒。JR久留米駅前にある老舗「来福軒」ののれんをくぐった。久留米のラーメン店では必須アイテム・焼きめしがラーメンとセットになっていた。680円はお値打ちかも。「モヒカン」とは対照的に、白髪の主人がゆっくり麺をさばいていた。いきなり味があるなあ。焼きめしの具は刻んだカマボコと玉ねぎ、卵、焼き豚だろうか。パラリとしていていい仕事ぶり。やさしい味のラーメンとよくあうな。両側からスプーンですくいあい、陣取り合戦になる。顔を上げたユウさんは言った。「ここの店はずばり、ザ・ピーナッツ。伊藤エミ、ユミ。え、知らないの?なぜって見た目は地味だけれど、歌のハーモニーは抜群じゃないですか」。ついていけない…。

プロフィール

多田 千香子(ただ・ちかこ)

おやつ記者。1970年、岡山生まれ。岡山大学法学部卒。朝日新聞記者として12年余、新潟・福山・大阪・福岡で働く。2005年、フリー。パリ製菓留学をへてアトリエ「おやつ新報」主宰。

著書としてレシピ&おはなし集「おやつ新報へ、ようこそ。」(エンターブレイン、税込1680円)、パリ滞在をつづったエッセー「パリ砂糖漬けの日々」(文藝春秋、税込1800円)が発売中です。

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