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コラム「論より、おやつ。」

おイモさんフラン

2007年04月01日

  ボンジュール……あれ、返事がない。もう1丁。ボンジュール!

写真手前がふつうのフラン。右奥は「おイモさんフラン」。前日の焼きイモをリサイクル

ありゃ「8 時だョ!全員集合」みたい。もとい。フランスかぶれのチョーさん、ではなくて、多田千香子と申します。はじめまして。

アスパラクラブの隅っこで先月まで、コラム「パリ砂糖漬け」を書いていました。二度目ましての皆様、マウスの上の手を挙げていただけますか。う、うれしい。2度ほお寄せてチュチュッ。フランス式あいさつ・ビズをさせてください。あ、逃げないで……。

パリで20カ月、粉と砂糖とフランス語にまみれました。おやつを作って書く人になろうと、新聞記者ぽっぽ人生から脱線しました。フランスかぶれというより破れかぶれ。おやつを求めて胃袋は広がり、財布は細りました。渡仏中に訪ねた菓子店・食堂は、記録しただけで300軒以上ありました。

フランは好物のひとつ。どのパン屋でも売っている焼きプリンのようなパイです。ぱっと見ると日本のチーズケーキみたい。ツルリンといただけます。パリの自宅近くのパン屋では、手のひら大の一切れが1.5ユーロ(240円)。わら半紙でクルクル無造作に包み、「ハイどうぞ、よい1日を」と店のマダムが渡してくれました。歩きながらかじりました。

パン屋の定番おやつは有名菓子職人の店にもありました。さんざめく宝石のようなケーキに交じって焼きっぱなしのフラン、4ユーロ(640円)。ふつうフランの2.6倍です。手がひっこみましたが1度だけ買いました。

しずしずと手提げ箱に納められたフラン様は、さすが。いい材料を使っていて上品です。キレもある。うなったけれど、ちょっと違う。なんだかよそよそしい。

「おやつ」って気取らないから、いとおしいのに。

スィーツとか菓子とか呼ぶと、甘いものしか当てはまりません。男子禁制な空気も漂います。おまけにショコラだのコンフィチュールだの横文字だらけです。言葉の自給率、もっと上げていいのに。

おやつは懐が深いのです。甘いの辛いの、何でもござれ。高校時代は学校帰り、岡山県庁近くにある「山珍」の豚まんを必ず食べていました。新潟で新人記者だったころ、万代バスセンターにあるおむすびと回転焼きの店に週3回は行きました。スジコおむすびにするか、クリ入りアンコの回転焼きにするか。真剣に悩み、気付いたらどっちも買っていました。

うれしくてもつらくても、とりあえず「論より、おやつ」。実際には食べ控えなくてはならなくたって、読むだけなら糖分・カロリーともにゼロです。ちょっと和んで、またボチボチいこか。そんなおやつの話をつづれたらと思います。

プロフィール

多田 千香子(ただ・ちかこ)
おやつ研究家・食ジャーナリスト。1970年、岡山生まれ。岡山大学法学部卒。朝日新聞記者として12年余、新潟・福山・大阪・福岡で働く。2005年、フリー。パリ製菓留学をへて現在、京都在住。個人blogはおやつ新報社
朝日カルチャーセンター神戸大阪京都で食やお菓子に関する講座を担当しています。パリ滞在をつづったエッセー「パリ砂糖漬けの日々」(楽天ブックス別ウインドウで開きます セブンアンドワイ別ウインドウで開きます)が7月下旬、文藝春秋より発売されます。

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