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つや肌マカロン2007年06月18日 アスパラクラブで連載したコラム「パリ砂糖漬け」が7月下旬、文藝春秋より出版される。タイトルは加筆した分(?)長くなり「パリ砂糖漬けの日々」になった。縦書きの初校が届いた。赤ペンを片手に読む。直さなかったのは280ページ中、たった1ページだった。新聞編集者だったころ、朱の多い原稿なんてヤダヤダと思っていたのに。
心配なのは本の表紙だ。担当の編集者・ニシヤマさんに、手作り菓子の写真にしようと言われていた。東京へ運ぶことも考えると、焼き菓子だらけになりそうだ。見透かしたようにニシヤマさんは続けた。「ハーブなど緑のアクセントも欲しいですね」「丸いの、四角いの、こげ色が濃いの、薄いの、いろいろあると楽しいと思います」。うっ。焼きっぱなしのバターケーキにサブレ……。私の好きな菓子を書き出したら茶色ばかりになった。撮影するのは4、5種類という。なんとかなるだろうと思っていたら、裏表紙も含めて結局、10種類が必要と言われた。うわー、どうしよう。 京都・旧二条通の町家に遊びに来たマリちゃん、ユキエちゃんに相談した。彼女たちはパリの製菓留学先で同級生だった。部屋のペンキ塗りを手伝ってくれた「壁塗りシスターズ」として本にも登場する。タマネギとベーコン入りのキッシュ・ロレーヌを作り、オーブンから出したてをふるまった。2人はアイデアを出してね、お願いします。 ユキエちゃんはフランス語の菓子本をめくりながら「やっぱりマカロンはいるよね」と言った。うんうん。繊細で色鮮やかなマカロンはパリらしい。マリちゃんは「チカちゃん、クロカンブッシュは? 上手だったし」「どうやって運ぶの東京まで……」。シューをアツアツのアメでくっつけながら積み上げ、とんがり帽子にする工芸菓子だ。確かにシェフにほめられたが、指先がヤケドだらけになった。小さいものなら大丈夫だろうか。 フランボワーズ(キイチゴ)も真っ赤で愛らしいから使いたい。生のは京都では見つからなかった。あちこち探す。六本木の東京ミッドタウンのスーパーにあるのが分かった。30粒ほど入った1パックが1380円。手が届かない。しかたない、冷凍ものでがんばろう。 撮影2日前から仕込み始めた。まず日持ちのするサブレやマドレーヌなどを焼いた。マカロンは硬く泡立てた卵白に、アーモンド粉と粉砂糖を混ぜる。ゴムベラでよく伸ばして、びよよーんとトルコアイス風にする。絞り出したら乾かして焼く。新調したてのオーブンはまだ手なずけていない。付きっきりで温度を細かく変えてみる。ひび割れませんように。紫イモパウダーを混ぜて紫色のも作ったが色がきつい。持っていくのは白と淡いピンクと緑色にした。白には銀色の砂糖粒・アラザンを添えておめかしした。 前日は徹夜になった。焼いたシューを組み立ててクロカンブッシュにする。明け方にカヌレを焼き、マカロンにバタークリームをはさんで張り合わせた。さぁ、急いで荷造りしなければ。シュー菓子・サントノーレは箱に入れたとたん、絞り出した生クリームが崩れた。あーあ、早くも脱落第1号。作り手に似たのかヘタレだ。泣く泣く置き去りにした。ほかのは撮影まで生き残ってくれますように。お隣さんにまで手伝ってもらってタクシーに乗り込んだ。「そろそろーっと運転してください、すごい壊れ物なんです。じゃ京都駅まで!」 この記事の関連情報論より、おやつ。バックナンバー
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