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コラム「論より、おやつ。」

黙らせサブレTV出演(上)

2007年09月10日

 テレビに出た。CS放送の関西テレビ☆京都チャンネルと地元・KBS京都で流れる「京都!ちゃちゃちゃっ」だ。正午からの生放送という。ずっとテレビがないので番組も観たことがない。ゲストとして1時間、出ずっぱりという。公共の電波に乗るのは初めてかも。ドキドキする。いや待て。新人記者のころ「裁判所前でたむろする報道陣その1」としてなら結構、出た。単に映っただけの遠い昔にすがって慣れたような顔をする。

写真

黙らせサブレを前にした梶原アナ(右)とアシスタントの井上さん

 ディレクターのマシモさんと1週間前に打ち合わせた。番組の前半はコメント役のようだ。「食べころ」コーナーで紹介されるお弁当をいただいて感想も言う。後半30分ほど「日替わりの先生」として講義台に立つ。写真を見せながら京都暮らしと拙著について話す。本に登場する「黙らせサブレ」も焼いていき、司会の2人に食べてもらう……。うまくできるだろうか。マシモさんは「台本ありますし、フツーな感じでいいですから」とニッコリ言う。あんまり考えないでおこう。

 台本は放送前夜の午前零時、メールで届いた。寝不足で肌が荒れて、ますます見苦しくなっても困る。台本は早起きして読むことにした。サブレは寝る前に焼いておこう。冷凍室を開けたらカラッポだった。作りおきがあると思い込んでいた。うわー。ボウルを引っつかみ、粉と砂糖とバターを混ぜる。ついでに「何を着て行ったらいいですか」と、マシモさんにメールを出す。午前1時半に返ってきた答えは「人前に出られる格好なら何でも」。彼女も遅くまで働いているんだ、私も頑張ろう。午前2時に焼き上がった。

 よく眠れたが台本を読む時間も服に悩む余裕もない。週3日は着ている白いシャツにジーンズ姿にした。黄色い肩掛けカバンにサブレを詰める。蛤御門の向かいにあるKBS京都まで自転車で向かった。

 スタジオで打ち合わせとリハーサルをする。嵯峨野の彼岸花スポットや、将軍家光公の時代から続く膏薬の紹介があるようだ。司会の梶原誠アナウンサーとアシスタントの井上優里さんにのせられて話し出す。記者1年生時代に彼岸花を撮った思い出から、当時の肩掛け式携帯電話の話に脱線していった。台本なんて見ちゃいない。こんな調子で大丈夫かな。

 マイクのコードはジーパンのポケットに隠してと指示される。スタッフは忙しそうだが私は手持ちぶさただ。写真でも撮ろう。カバンからカメラを出そうとしたら「はい〜本番5秒前!」。うそ、もう。立ち位置に戻る。気がつくとコードがダラーと垂れ下がっていた。いけない。「本日のゲストをお呼びしましょう!タダチカコさんです!」と梶原アナ。コードをひとさし指で必死に押し込みつつ、ニヤニヤ現れたに違いない。

 

プロフィール

多田 千香子(ただ・ちかこ)
おやつ研究家・食ジャーナリスト。1970年、岡山生まれ。岡山大学法学部卒。朝日新聞記者として12年余、新潟・福山・大阪・福岡で働く。2005年、フリー。パリ製菓留学をへて現在、京都在住。ウェブサイトは「おやつ新報別ウインドウで開きます」。
朝日カルチャーセンター神戸別ウインドウで開きます大阪別ウインドウで開きます京都別ウインドウで開きますで食やお菓子に関する講座を担当しています。パリ滞在をつづったエッセー「パリ砂糖漬けの日々」別ウインドウで開きますが文藝春秋より発売されました。
 「パリ砂糖漬けの日々」写真展を、北九州、岡山で開きます。20〜50点の写真が織りなす、パリ20カ月の風景です。
 ・北九州 9月1日(土)〜10日(月)の10:00〜18:00、小倉北区室町のリバーウオーク北九州内、朝日新聞西部本社4階・朝日さんさん広場
 ・岡山 10月10日(水)〜11月2日(金)の11:00〜22:00、岡山市内山下のルネスホール内、公文庫カフェ

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