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日仏カップル京都の休日2008年05月05日 マユコさんと恋人オリヴィエ君は貸し自転車に乗って現れた。「ご、ごめんなさい…」。約束に30分ほど遅れたせいか、申し訳なさそうに言った。あらマユコさん、日本語お上手。失礼にも思う。英領バミューダに住む母ミノリさんが「日本語は、できます」と紹介してくれたから。
父親の仕事の都合で幼いころから海外を点々とした。長く住んだのはメキシコで、いまは米マイアミで働いている。フランス人オリヴィエ君とは同じ職場だったが彼が転職し、いまはアムステルダムとマイアミで遠距離恋愛という。日本に出張すると言ったら「彼も来るって」。東京で落ち合い、マユコさんが仕事を終えて京都へ。自転車で南禅寺や二条城をめぐり、私の町家アトリエにも寄ってくれた。 2人ともキョロキョロしている。長屋に興味しんしんみたい。オリヴィエ君は四畳半の和室を指さす。「あそこはサロンドテ(茶室)?」うーん、そういうことにしておこうか。後で説明するとして、まずは抹茶シフォンケーキを作ろう。どうぞエプロンをつけて。「わぁ、写真撮ろう」。2人とも泡立て器を振ってポーズを決める。パシャ。卵を黄身と白身に分けてくださーい。日仏語で促す。うっかり手を滑らせたマユコさんを「ハ・ハ・ハ!」と彼がからかう。またパシャリ。お互い撮りっこ、かわいいな。 黄身に砂糖を混ぜて、お湯に溶かした抹茶と米粉を加える。硬く泡立てた白身もさっくりと合わせる。あ、オリヴィエ君、泡立て器についた生地を親指ですくっている。ニッコリ一言。「ンー、トレボン!(うまい)」。さすが食いしん坊のフランス人。「子どものころ祖父母とお菓子を作っても、ナマの生地をなめたり、ずっとオーブンを見続けていたり。今も全然変わらない」。マイアミ時代もマユコさんとグラノーラをバケツいっぱい作ったり、ピザ生地を粉からこねたりしたそうだ。 焼けるのを待ちながら話した。2人とも日本で暮らしたら? 海外が長いマユコさんは「だんだん日本が恋しくなって。それってトシだよって言われるけど」と笑った。南仏トゥールーズ出身の彼は「京都ならいいけど東京はノン、だなぁ。東京ってパリみたいに地下鉄で会社に行って、帰ったら眠るだけの街でしょう」。 紙コップで焼いた小さいシフォンを取り出す。「わぁすごい」。歓声が上がった。すぐに紙をペリペリ破る音がする。もっちりした深緑、さっそくほおばっている。「おいしい!」「オイシー」。マユコさんが日本語を教えながら、2人とも満足そうに平らげた。彼はラッピング用に、アルファベットのスタンプを押す。自慢げに見せてくれた。仏語でこうあった。「KYOTOにて、オリヴィエ特製!」 マユコさんは明日、米国へ戻る。彼は奈良、広島を旅してオランダへ。でも3週間後にはマユコさん一家と、サンフランシスコで会うという。オリヴィエ君は「彼女のママンに初めて会う」と、ドキドキしているようだった。マユコさんに似てとてもかわいい人よ。あべこべなことを言いながら、自転車に揺れるポニーテールと坊主頭を見送った。 バミューダのミノリさんに2人の写真を添えて報告した。すぐに返事が来た。「うれしい! 2人とも楽しそう。大好きな千香ちゃんとマユコ&オリヴィエが出会えて、ホンワカワカ〜な気持ちです」。私もホンワカ、まるで2人が作ったシフォンケーキみたい。マイアミ、アムステルダム、バミューダ、京都とバラバラにいても、心は同じ幸せ色。なんだかうれしい。それにしても、たくさん地名が出てきたな…。 プロフィール
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