現在位置:asahi.com>食>コラム>スイーツの心得> 記事 パリ―東京 砂糖と飴の最新事情2007年03月17日 パリへ行ってきた。2年ぶりのパリは暖かかった。いずこも同じ、温暖化だ。
それはともかく。チョコレートショップ、ブーランジュリー、デパートの食品売り場を見て回った。一番目をひいたのが砂糖だった。
砂糖がファンシーグッズ化しているのである。ポップな色と形のバリエーションは、砂糖と言われなければわからないほど。「芳香剤?」と思わなくもなかったりして……。
以前に比べて、食品売り場に、企画型の商品が増えたように思う。パッケージに凝った、デザイン性の高い商品がやたら目に付くのである。すごくおしゃれ。たぶん味も悪くないに違いない。けれど、志の高い小規模生産者が地道に作り続けている逸品という感じは薄い。食の世界がカッコよくなるのはうれしいけれど、本質的な進歩でないとちょっと悲しい。複雑な思いで眺めてきた。
ちょうどパリへたつ前には、日本のデパ地下に目を見張っていたところだった。手みやげに悩み、とりあえずデパ地下へと行こうと訪れたのが、伊勢丹新宿店。和菓子コーナーのリフレッシュオープン直後で、なんだかすべてが新鮮に見える。「あ、これ、パリへの手みやげにしよう」と即決だったのが、「Ameya Eitaro」の飴(あめ)だった。新し物好きのパリっ子に「受けそう」感満点なのだ。
今、日本のスイーツの世界ではひそかに飴ブームの気配がある。菅野清和さんがバルセロナから持ち帰ったスペイン版金太郎飴「パパブブレ」がヒットして、飴見直しの機運が高まっているのだ。マニアの間ではル・ルーさんのキャラメルが人気で、スイーツ好きにしてみれば「砂糖菓子は基本中の基本だしね」と、飴ブームの気配はポジティブに進行している。
そこへ、「Ameya Eitaro」の登場である。登場と言っても、営むのは榮太樓総本鋪。つまり、老舗(しにせ)の革新であり、本流の変革だから、けっこうこれで大きく飴界が動いていく可能性あり、と見る。
「Ameya Eitaro」のラインナップの中でも注目すべきは、板あめだろう。細かい気泡がたくさん入ったメレンゲ状で、サクサクかんで食べる。けっこう飴の概念が変わりますね。砂糖液に圧を掛けることでメレンゲのような食感を生み出すらしい。パステルの色合いとシンプルなデザインが愛らしい。みつあめは、液状の飴で、パンに塗ったり、デザートやヨーグルトのソースにしたりしても使える。シロップと考えればよいでしょうか。
ところで、伊勢丹の和菓子売り場、15×15×19.5ミリの最中があったり、一口サイズのミニ月餅があったりと、和菓子の地殻変動を感じることができる。これまでも、和菓子離れの風潮に対して、一部の店は現代人向きの商品作りに取り組んでいた。が、いまひとつ無理があったというか、釈然としなかったというか。でも、今回はけっこう悪くない。洋菓子の要素を取り入れるとかじゃなく、従来の和菓子のまま、より今の人が興味を持ちそうな方向へと進めている。
企画性が求められるのは、フランスも日本も同じだ。いかに他と差別化するか、人々に興味を持ってもらうか、みな知恵を絞っている。まじめに良い商品を作っているだけでは生き残れないのも現代の真実。和菓子が変わらなきゃいけないことが何よりの証拠。本当は普通の薯蕷饅頭(じょよまんじゅう)が最高においしいことが私の望みなのだけれど。とはいえ、ドキドキ、ワクワクも欲しい……。女心は複雑です。
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