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コラム「スイーツの心得」

スイーツとコスメの遠くて近い関係

2007年04月11日

 マカロンが花盛りである。春はマカロン……、そんな感じだ。

写真まるで化粧用のパフ! エッジの立ったフォルムが、アンチフードな美しさをたたえています。帝国ホテル「ガルガンチュワ」のギモーヴです。フランボワーズ、バニラ、ミント、パッションフルーツの4種、計12個入りで2100円。
写真パリのコンフィズリー(砂糖菓子)屋さんのウィンドーに飾られたギモーヴ。
写真ホテルオークラ東京のマシュマロは、日本ではめずらしく長いままのパリ風。だから、マシュマロではなく、ギモーヴの名前で販売してほしい。フレーバーはラズベリー、ライム、パッションフルーツの3種。ちぎって食べるのが楽しい。1575円。
写真ホテルオークラ東京のマカロンは円筒形のプラスチックケース入り。パッケージもコスメ感を漂わせるポイントのひとつ。ラズベリー、ピーチ、ピスタチオなど6種のフレーバーで1575円。
写真コスメの広告のように見えますが、これはマカロンの写真です。アンリ・シャルパンティエの『la Seduction』Septembre 2004 より。

まずは「ホワイトデーにはマカロン」という図式が出来上がりつつある。「ピエール・エルメ」がホワイトデーに合わせて限定マカロンセットを販売すれば、「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」もホワイトデー前のタイミングで新レシピのマカロンを発表した。実際、「サダハル・アオキ」のディレクター横山聡さんは、「今年のホワイトデーは、マカロンばかりが売れましたね」と言っていた。

 「バレンタインにショコラ、ホワイトデーにマカロン」が決まり事になったら、世の男性陣は迷うことなくマカロンを選ぶに違いない。正直なところ、男性陣は、ホワイトデーに何を贈ればよいのか、見当がつかずにいるだろうから。あるショコラティエが言っていた。「女性にとっては選ぶことがイベント。長時間かけてチョコを選ぶ。男性は違う、はっきり言って何でもいい。だから、お返しは同じ品を10とか20、まとめ買い」

 ホワイトデーにはマシュマロという説もあった。私はいつも疑問に思っていたけれど。「なぜ、マシュマロ? 誰が言い出したのよ?」。だって、マシュマロを贈られてうれしい人がいるはずがない。ふにゅふにゅとしたとらえどころのない食感と味わい。口の中で溶けていく実感のなさ。

 ところが、そのマシュマロが最近、スポットを浴び始めた。ホワイトデーの贈り物としてではない。ホテル・スイーツとしてだ。「帝国ホテル」「パーク ハイアット 東京」「ホテルオークラ東京」などが出している。マカロンとマシュマロを並べて売るケースも多い。マシュマロというとアメリカンなイメージがあるけれど、最近増えているのは、フランス菓子としてのマシュマロ、つまり「ギモーヴ」だ。

 「ギモーヴ」は、フランス菓子の世界では極めてポピュラーなアイテムである。四角くカットして売られることもあるし、ながーい棒状を三つ編みにして売られることも。日本人がフランス菓子と思って食べているケーキなんかより、よほどフランス人にとってなじみが深い。マカロンがフランス菓子の高級版シンボルとすれば、ギモーヴは庶民版シンボル。フランス好きとしては、こういうお菓子の普及こそ、フランス菓子の真の浸透が感じられてうれしい(個人的好き嫌いはともかく)。

 マカロンとギモーヴを並べて見ていたら、ある一つのキーワードが思い浮かんだ。「コスメティック」。「アンリ・シャルパンティエ」が独自に出しているニュースペーパーのマカロンの写真が象徴的だった。まるで化粧品の広告である。マカロンがアイシャドーに見える。そして帝国ホテルのギモーヴはほら、化粧用のパフに見えるでしょ?

 コスメティックなスイーツのもう一つの事例は、フレーバーだ。バラの香りのお菓子が急増中なのである。視覚的にも味覚的にも、スイーツのコスメ化(?)は進行している。映画「マリー・アントワネット」で使われたパリの「ラデュレ」のお菓子はまさにどれもコスメティックという言葉がふさわしい。

 女心をくすぐる条件を形にしていくと、似てくるのだろうか? パステルカラー、透明感があって、ふんわり軽くて、ウエットじゃない質感、端正で……。

そうそう、最後にもうひとつ。ロレアルがヘアカラーに使っているカラー用語はずばりスイーツ用語です。

メモ

帝国ホテル東京 ガルガンチュワ

東京都千代田区内幸町1-1-1

本館1階

Phone 03-3539-8086

10:00〜19:00

無休

ホテルオークラ東京

シェフズガーデン テラス(本館1階)

シェフズガーデン カメリア(別館1階)

東京都港区虎ノ門2-10-4

Phone 03-3582-0111

無休

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プロフィール

君島 佐和子(Kimijima Sawako)
1962年生まれ。『料理通信』(毎月6日全国書店で発売)編集長。ショコラ好きでボンボン・ショコラに目がない。パッケージ・コレクターでもあり、ジャン=ポール・エヴァンやラ・メゾン・デュ・ショコラの箱は大切に保存している。www.r-tsushin.com

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