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コラム「スイーツの心得」

シャンパンとスイーツがもたらすα波

2008年01月10日

 昨年以降、スイーツの世界にもその勢いは押し寄せている。シャンパンを置くパティスリーやカフェが増えた。スイーツとシャンパンの組み合わせを推奨する雑誌の特集もしばしば組まれている。

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フランス地方菓子に積極的に取り組む千葉のパティスリー「クラックラン」の「ビスキュイ・シャンパーニュ」1袋315円(長さ5〜6cm×約20本)。シャンパンの搾りかすで造る蒸留酒マール・ド・シャンパーニュが使われている。

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パリの百貨店の食品売り場には必ずある「フォシエ」の「ビスキュイ・ローズ・ドゥ・ランス」。そのまま食べるとたまごパンのような味わい、シャンパンに浸すと一気に大人の味わいに。ネット(pariswave.com)で取り寄せられます。「ラデュレ」のロゼシャンパンを添えて。

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「アンリ・シャルパンティエ」の新商品「ビスキュイ・ドゥ・シャンパーニュ」。20cm以上というスペシャルな長さに作り、筒に入れて販売。伝統菓子もモダンでスタイリッシュになると、また趣きが変わる。ビスキュイらしく、ほのかな甘味の素朴な味わい。

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手前から、「ヘフティ」、「トイスチャー」2種、「ヴィタメール」のシャンパントリュフ。カカオパウダーをまぶしたものは、トイスチャーの甘さを抑えたビタータイプ。(いずれも日本橋高島屋で)

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「デルレイ」の「シャンパンコルク ミルク」(金)、「シャンパンコルク ダーク」(銀)。1個480円。中はシャンパンガナッシュではなく、ブランデーガナッシュ。形の妙ですね。

 確かに昼下がりのシャンパンとスイーツは悪くない。気持ちに余裕のある午後、カフェでシャンパンを傾けると、明るいうちに入る温泉くらいの解放感がもたらされる。同じアルコールでもシャンパンには昼間から飲むことへの罪悪感がないから、メニューにシャンパンの文字を見ると、ついオーダーしたくなってしまう。

「シャンパンとスイーツ、厳密には合わないんですけどね。合うのは雰囲気だけ。味覚的にはむずかしいですよ」

 と言うのは私のワインの先生だ。そうかもしれない。たとえばボンボンとシャンパンを一緒に食べると、互いの味を損なうわけではないけれど、少なくとも交じり合わない。歩み寄らないというか、シャットアウトし合うというか。あるチョコレートメーカーの営業マンは、「ショコラ・テイスティングの合間の飲み物としてシャンパンがいい」と言う。口を洗い、舌をフラットな状態に戻すのに適しているらしい。

 わからないではないけれど、シャンパンがもたらしてくれるもの、人がシャンパンに求めるものは、そういうことではないように思う。なんというか、華やぎたいのだ。私が子供の頃、ケーキを食べるのは特別な日だった。お誕生日とか、来客の日とか。今、ケーキはすっかり日常化した。華やぐには、プラス・シャンパンくらいは必要だ。ボンボンをつまむ時にシャンパンがあると、ぐっと気持ちが浮き立つ。紅茶やコーヒーより格段にゴージャスである。

 地元フランスでシャンパンにちなんだお菓子と言えば、「ビスキュイ・ド・シャンパーニュ」がよく知られている。「ビスキュイ・ド・ランス」(ランスはシャンパーニュ地方の中心都市)とも呼ばれる伝統菓子で、平たく言えば、ピンク色のフィンガービスケットである。シャンパンに浸して食べる。

 マカロンは随分浸透したけれど、ビスキュイ・ド・シャンパーニュはまだまだ。どの程度知られているのだろう、と思ってネット検索してみたところ、ウェディング情報として掲載されているのには驚いた。思ったよりポピュラリティーを勝ち得ているのか?「シャンパンと一緒にふるまうとお洒落」と、演出法として紹介されている。なるほど……。さっそくプリントアウトしていたら、スタッフの一人が「君島がなぜ、ウェディング情報を?」といぶかしがる。余計なお世話ね。私だって、いつか必要になることがあるかもしれないじゃない。

 さて、シャンパン・スイーツの代表格をもうひとつご紹介しよう。シャンパントリュフだ。チョコとシャンパンが合うわけじゃないなら、なぜ、シャンパントリュフがあるのだろう、と思わないでもないけれど、実際のところ、これはおいしい。そんなにシャンパンらしさを感じさせるわけではなく、ラム酒やグランマルニエといったリキュール・ボンボンの一緒といっていい味わいだが、ほのかな苦味がショコラとマッチして、優雅でさえある。

 そう、人がシャンパンに求めるもの、それは、モーツァルトを聴いた時にたくさん放出されるというα波に類するものに違いない。きっとスイーツがもたらしてくれるものと一緒でもあると、私は思う。

 「スイーツの心得」は今回を持ちまして連載を終了させて頂きます。ご愛読ありがとうございました。なお、「新・スイーツの心得」が、www.r−tsushin.comで、2月6日よりスタートいたします。

メモ

(ショップデータ)

クラックラン

千葉市美浜区打瀬2-5 パティオス3番街

Phone.043-213-0238

10:00〜19:00

無休

アンリ・シャルパンティエ銀座本店

東京都中央区銀座2-8-20

Phone.03-3562-2721

10:00〜21:00(サロン11:00〜)

無休

日本橋高島屋

東京都中央区日本橋2-4-1

Phone.03-3211-4111(代)

10:00〜20:00

不定休

デルレイ

東京都中央区銀座5-9-19 銀座MCビル1F

Phone.03-3571-5200

11:00〜19:00

無休

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ショコラ研究家×ファッション・コラムニストによる贈りたい・贈られたいショコラBEST39/ベルギー王室御用達の秘密/パティシエは今、ショコラ×リカーに夢中です/綴じ込み保存版・モルト×ショコラ

プロフィール

君島 佐和子(Kimijima Sawako)
1962年生まれ。『料理通信』(毎月6日全国書店で発売)編集長。ショコラ好きでボンボン・ショコラに目がない。パッケージ・コレクターでもあり、ジャン=ポール・エヴァンやラ・メゾン・デュ・ショコラの箱は大切に保存している。www.r-tsushin.com

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