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コラム「ワインの歳時記」

桜にはロゼ・シャンパンがよく似合う〈前編〉

2007年04月10日

 2004年の4月、ヴーヴ・クリコ社からロゼ・シャンパン『ローズラベル』が発売されました。世界に先駆け、どこよりも早く日本でリリースされたのですが、プレス発表の場所は桜の名所として知られている上野公園、会場となったのは敷地内にある東京国立博物館法隆寺宝物館でした。

写真ライトアップされた法隆寺宝物館の小道
照明デザイン:(株)石井幹子デザイン事務所 撮影者:山崎洋一
写真シャルル・ド・ゴール空港の免税店にはモエ・エ・シャンドンの飾りつけも
写真ブリスベンの免税店ではローズラベルの他、ドンペリ、ベル・エポック、パイパー・エドシックなどが華やかに!

 照明デザイナーの石井幹子さんの手によってライトアップされた建物はひと際鮮やかで、博物館の正面玄関から宝物館に続く小道にはワインレッドやピンクの照明が施され、アプローチには1300個のピンクの光源が埋め込まれていたので、その一角だけは映画『未知との遭遇』でUFOが出現するワンシーンのようでした。

 招待者にも厳命!が出ていました。「ピンク色を1点身につけて」というドレスコードです。ピンク系の衣装など持ち合わせていなかった私は、イッセイ・ミヤケのショップに走り、ロゼ色の薄手のジャケットを購入して参加したのですが、すべてにおいて印象深い取材になりました。

 ●ヴィジュアル的に最高の組み合わせ

 五感の中でも“視覚”効果が絶大な出来事でした。マルセル・プルーストは『失われた時を求めて』の中で、紅茶につけたマドレーヌ菓子を口にした瞬間、昔日の思い出が鮮明によみがえる有名な一節を書いていますが、この視覚体験はプルーストの描いた小説のようで、日本列島が桜色に染まる頃になると、その時の記憶が鮮やかによみがえってきます。

 一般的に、シャンパンは高価な飲み物で、さらに値の張るロゼは“極上のハレのワイン”といえます。それゆえ、ロゼ・シャンパンを開ける時はいつもワクワクした気分になるのですが、ここには、年に1度の桜の開花を待ち焦がれるワクワク感と共通したものがあります。“ピンク同士”という色の組み合わせもヴィジュアル的に最高で、絶え間なく連なるシャンパンの泡も気持ちを弾ませてくれる要素になっています。

 ●世界的なロゼ・シャンパンブーム!

 『ローズ・ラベル』は創業以来230余年のヴーヴ・クリコ社の歴史の中でも特に記念すべき存在で、同社は1775年、ロゼ・シャンパンを海外に初めて出荷したメゾンといわれています。人気の定番『イエローラベル』のスタイルを踏襲して造られたローズラベルは、赤い果実を連想させる上品な味わいのシャンパンです。

 先月は2度海外に出ましたが、免税店で最も目についたのがロゼ・シャンパンでした。パリのシャルル・ド・ゴール国際空港でも、オーストラリアのブリスベン国際空港でも一番人目をひく位置に飾りつけられており、世界的なロゼ・シャンパンブームの現状を垣間見た思いがしました。

 ●ロゼ色いろいろ

 以前、ペリエ・ジュエ社の醸造責任者が来日した時、「『ベル・エポック・ロゼ』の造りで最も注意している点はなんですか」と伺ったことがあります。答えは「ロゼ色の出し方」でした。「黄色が強く出ないように心がけています。熟成するにつれ、あるいは気泡があることで色があせてくるので、飲み手が好ましいと思う色調を保つように心がけています」と語っていました。

 ロゼ・シャンパンをブラインドでテイスティングすると、各メゾンによって色に違いがあることが良くわかります。『モエ・エ・シャンドン・ブリュット・アンペリアル・ロゼ』はラベルと同色のメタリックなロゼ色、『パイパー・エドシック・ブリュット・ロゼ・ソヴァージュ』はロゼというよりは赤ワインに近い色調です。それらは各メゾンの特徴になっています。

 さて、ロゼ・シャンパンには2通りの製法があるのですが、ポイントとなる「ロゼ色の出し方」については次回改めて。

〈お薦めしたいロゼ・シャンパン〉

■親しい仲間と

  • ヴーヴ・クリコ ローズラベル 
  • モエ・エ・シャンドン ブリュット・アンペリアル・ロゼ 
  • パイパー・エドシック・ブリュット・ロゼ・ソヴァージュ 
  • マム ブリュット・ロゼ 
  • ポメリー スプリングタイム 
  • ゴッセ グラン・ロゼ 

■スペシャルなシチュエーションなら

  • ヴーヴ・クリコ ラ・グランダム・ロゼ1995 
  • ボランジェ グラン・ダネ・ロゼ 
  • クリュッグ ロゼ 
  • モエ・エ・シャンドン キュヴェ・ドン・ペリニヨン・ロゼ1996 
  • ベル・エポック・ロゼ 

プロフィール

青木 冨美子(あおき・ふみこ)
慶応義塾大学卒業。(社)日本ソムリエ協会機関誌編集長http://www.sommelier.jp。NHK、大手洋酒メーカーを経て、現在、フリーランス・ワインジャーナリスト。1990年(社)日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー資格取得。著書に『おいしい映画でワイン・レッスン(講談社刊)』協力執筆『ワインの事典(柴田書店)』監修『今日にぴったりのワイン(ナツメ社)』など。女性誌への執筆、各種企業向けワイン講師のほか、現在、昭和女子大学オープンカレッジの講師として活躍中。個人のBlogは『青木冨美子の公式Blog』

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