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まずは“グリーン”なワインから2007年05月15日 4月からスタートした新連載『ワインの歳時記』では、四季折々の“旬”をテーマにしながら、また12の各月から感じ取ることができる“色”のイメージをワインに重ね合わせながら、ワインの魅力をお伝えしています。日本列島が桜色に染まった4月は“ロゼ”を中心に描写してみましたが、新緑がまぶしい5月は、何と言っても“グリーン”!
●ニューヨークでは「赤、白、それともグリーン?」 マンハッタンにあるレストラン『Danubeダニューブ(“ドナウ川”の意味)』では、ソムリエがニューヨーカーたちに飲みたいワインの色を聞く時、「赤、白、それともグリーン?」という粋な聞き方をしているようです。 これはイギリスの、と言うより今や世界屈指のワインジャーナリスト、ジャンシス・ロビンソンが『フィナンシャル・タイムズ(2002年11月16日・17日付)』で、「アメリカの洗練されたレストランのソムリエたちは、グリューナー・ヴェルトリナーをシンプルに“グリューナー”、ひいては“Gru−veeグルービー”と呼ぶようにしている」という記事を書いたことによるものですが、ここ数年アメリカでは、グリューナー人気が続いています。そして、この“グリューナー・ヴェルトリナー”が、グリーンのワインと呼ばれているぶどうの正体なのです。 オーストリアの銘醸地カンプタールのフレッド・ロイマーは国内外から高い評価を受けている生産者ですが、『Loisロイス』のキャップのスカート部分には「Gruner、Green、緑」の3文字が印刷されていました。 ●覚えにくい名前のグリューナー・ヴェルトリナーだから、短く“グルービー” 南チロルにある村の名前に由来するグリューナー・ヴェルトリナーのことをジャンシスは「チロル地方ヴェルティン村産のグリーンのぶどう」と表現しています。オーストリアの公的機関オーストリアワインマーケティング協会(AWMB)のURLにある画像を見ても、グリーンのぶどうのイメージがおわかりいただけるかと思います。グルービーは全栽培面積の約36%を占めるオーストリア固有の白ぶどう品種で、フルーティーさと白コショウに似たスパイシーさを併せ持つワインになるので食事に合わせやすく、特に、和食との相性の良さには定評があります。 ●地球温暖化はオーストリアのぶどうにとって好影響 地球温暖化による影響はオーストリアにも出ていますが、ぶどう栽培では良い影響を受けているようです。先のAWMBのミヒャエル・トゥルナー前会長は「平均して、50年代は14日、60年代は20日ほど開花時期が早まっており、ここ10年ほどは特に顕著で、オーストリアのワイン産地が、“非常に涼しいエリアから、涼しいエリアに変化してきた”と言えます。従来、軽いタイプのワインを生産していましたが、80年以降は、ボリューム感があり、アルコール度が高く、完熟した果実風味のワインが造れるようになりました」と話しています。これは、冷涼なエリアだったオーストリアが、温暖化によって年間の温度が上がり、それによって、糖度が十分にのったぶどうができるようになったことの現れです。もちろん、ぶどうの収量を抑えたり、醸造面で改善したりもありますが、ワインの品質は素晴らしく向上しています。 ●オーストリアの国名呼称は、“オーストリー”に変わりました! さて、ここからは“オーストリー”という表現に変えます。なぜなら、2006年秋から、オーストリーの国名表記が変わったからです。昨年11月、オーストリー大使館でプレス向けのセミナーが行われた際、ペーター・モーザー駐日オーストリー大使は「南半球にあるオーストラリアと欧州にあるオーストリアは常に間違えられやすいので、今後はオーストリアを“オーストリー”と表記することにします」と発言。ここに至るまでには、過去の文献を細かく調査し、熟考した結果とのことで、発音と表記に長音(−)を入れ、「オーストリー」にすることで、「オーストラリア」との差別化を図っています。 グリーンのワインから始まった今回のオーストリー編ですが、次回は、ワインの良き相棒であるグラスについて書いてみます。ワインは選ぶグラスによって印象が変わります。極端な話、1000円のワインが極上のワインに感じられることすらあります。オーストリーには、『ロブマイヤー』と『リーデル』という、世界的な2大メーカーもあり、文化に裏付けされた同国のさらなる魅力をお伝えしたいと思います。
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