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コラム「ワインの歳時記」

夏は“泡もの”をビール感覚で楽しもう!

2007年07月31日

 「とりあえずビール」というキャッチフレーズが、一時期流行(はや)りましたが、喉の渇きを手っ取り早く潤すには、ビールは最適の飲料ですよね。プルトップにしても、王冠にしても、簡単に開けてすぐ飲める、ということはスゴイことです。

写真窓から180度見渡せるぶどう畑は壮観です
写真栓は王冠、気楽に飲んで!
写真瓶内2次発酵中の『クリスタル』、王冠に注目!
写真グリーンポイントは万能選手、何にでもあわせて
写真(上)これがヴィノ・ロックです!
(下)コルク栓(左)とヴィノ・ロック栓

●モエ・エ・シャンドン社傘下のグリーン・ポイント

 前回、前々回と、栓にちなんだテーマで書いていますが、オーストラリアやニュージーランドでは新しい栓の導入に積極的です。スクリューキャップ以外では、ヴィクトリア州ヤラ・ヴァレーにある『グリーン・ポイント』社が、スパークリング用に「王冠」を導入しています。

 “グリーン・ポイント”という名は、夏でも緑が残っている場所ということで、ヤラ・ヴァレー最初の開拓者たちの時代からそのように呼ばれていたようです。同社はシャンパーニュ地方の大手メゾン『モエ・エ・シャンドン』の傘下で、1986年に土地を購入し、スパークリングワインの生産に力を入れています。本国同様、ワイナリーは清潔でとてもキレイ。ビジターは年間約12万人で、うち10%は日本からの訪問者だそうです。

●王冠栓のスパークリングワインはシドニーのオペラハウスから

 2006年2月の訪問時、「シャンドンZ*D(Zero Dosage)」を試飲させていただきました。シャルドネ100%の泡もので、ボトルには「王冠」が使われていました。とても斬新に感じたのですが、考えてみれば、シャンパン造りでは瓶内2次発酵で王冠を使うのですから、グリーン・ポイントを製品化する際、王冠を使っても何の不思議もありません。

 オーストラリア国内で王冠栓のスパークリングワインが登場したのは1992年のこと。同社のCEO兼ワインメーカーのトニー・ジョーダン博士がシドニーにあるオペラハウスのバーで使用するプレミアムスパークリングに導入したのが最初です。その後、2003年には国内市場向けに「シャンドンZ*D ブラン ド ブラン2000」を、2004年にはアルゼンチンにある姉妹ワイナリーに向けて「シャンドン エターナゥム ゼロ1999」を公式にリリースしています。

●ビール感覚なので抜栓が簡単&便利

 グリーン・ポイントは2カ国のみに王冠栓のワインを輸出しています。相手国はイギリスと日本。前者は2005年からで、「グリーン ポイント Z*D ブラン ド ブラン」と「グリーン ポイント ヴィンテージ ブリュット ロゼ」。日本市場へは2006年から、「ヴィンテージ ブリュット」と「ヴィンテージ ブリュット ロゼ」を入れています。

 開けるのが簡単&便利な王冠栓、ただし、こぼさないよう45度に傾けて抜きましょう! アウトドアでも気軽に楽しめます。

●最新栓はドイツで発明されたヴィノ・ロック

 ドイツの銘醸地ラインガウ地方にあるシュロス・フォルラーツではヴィノ・ロック(ガラス製のプラグ付き栓)の導入に踏み切りました。ヴィノ・ロックはドイツのアルコア社(アメリカに本社あり)で開発された一番新しい栓で、2004年から製品化が可能になり、現在、ドイツを始めとしてオーストリア、イタリア、フランス、スペイン、南アフリカ、アメリカ、オーストラリア、NZなどでも採用されています。

 日本のワイナリーで唯一ヴィノ・ロックを使用しているのは長野県にある『小布施ワイナリー』。2004年からの採用で、今はコルクとヴィノ・ロックの2種類の栓を併用中。打栓はすべて手作業、1個あたりのコストが高いので結構大変みたいです。今年8月下旬に瓶詰する「ピノ・ノワール2005」は限定600本のワインですが、人気のある製品なので、すべてヴィノ・ロックでリリースするとのことです。

●栓と空気と還元臭の関係

 コルクで打栓されたワインはゆっくりと酸化していくことで、味わい深いワインに変化していきます。コルク栓を通して介入してくる微量な酸素はボトル内のワインに様々な効果を及ぼしますが、代替栓(スクリューキャップやヴィノ・ロックなど)の場合、ボトル内が嫌気的条件下におかれるので、酸素が存在しない状態になります。酸素がないとどうなるかと言うと、ワイン中の酵母や乳酸菌の酵素作用で、化合物内の酸素の一部が水素や硫黄に置き換えられる「還元反応」が進みます。

 ワインに添加されている酸化防止剤としての二酸化イオウ、あるいは果汁中の硫黄を含むアミノ酸(シスチン、システイン、メチオニン)から、酵母によっても造り出される二酸化イオウがワイン内にあることで、ゆで卵の黄身や硫黄温泉で感じる硫化水素のような臭いが発生してしまうことがあるのです。

 ワインを開けた時、このような臭いを感じたら、グラスの中のワインをできるだけ空気と触れさせてあげてください。酸素を吸収することでワインは正常な香りに戻りますので、ご心配なく。

●店側から見た消費者の反応

 酒販ニュースの5月21日号(出典:第1598号)に、代替栓、特にスクリューキャップに対するお客様の反応が載っていましたので、参考までに書いておきます。

 ファミリーマートでは棚の約3割だったスクリュー栓ワインの比率を4月から8割に高めた。再生可能で、コルク抜きがいらない利便性が、CVSの消費者層のニーズと合致。店側はお客様に手軽に飲んでもらえる栓という判断をしている。

 セブンイレブンは、ワインの約3分の1がスクリュー栓。お客様がワインを開ける時に心配しなくて済むという利便性を評価。

 ワイン専門店の信濃屋六本木店では、スクリュー栓仕様の低価格ワイン、高級ワインとも好調とのこと。「スクリュー栓イコール低価格ワイン」という過去のイメージは払拭(ふっしょく)できたと実感。

 コルクとスクリューキャップで打栓した同一ワインを飲んでいただくと、2種類のワイン(色、味わい)の違いをハッキリと理解することができます。私は昨年、「ボージョレ・ヌーヴォー」で試して明確な違いを感じたのですが、お薦めは、まさに11月第3木曜日解禁のヌーヴォー! 2種類の栓で出荷している生産者が何社かありますので容易に入手できます。これは試す価値ありの比較試飲です。

【気軽に楽しめる王冠栓のスパークリングワイン】

栓抜きのご用意を!

  • グリーン・ポイント・ヴィンテージ・ブリュット グリーン・ポイント・ヴィンテージ・ロゼ

プロフィール

青木 冨美子(あおき・ふみこ)
慶応義塾大学卒業。(社)日本ソムリエ協会機関誌編集長http://www.sommelier.jp。NHK、大手洋酒メーカーを経て、現在、フリーランス・ワインジャーナリスト。1990年(社)日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー資格取得。著書に『おいしい映画でワイン・レッスン(講談社刊)』協力執筆『ワインの事典(柴田書店)』監修『今日にぴったりのワイン(ナツメ社)』など。女性誌への執筆、各種企業向けワイン講師のほか、現在、昭和女子大学オープンカレッジの講師として活躍中。個人のBlogは『青木冨美子の公式Blog』

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