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「映画とワイン」のお洒落な講座@ホテルオークラ2007年11月27日 今春からホテルオークラが主催する『ワインアカデミー』で「映画とワイン」の講座を担当させていただいているのですが、11月はなんと3夜連続! 扱う映画は6作品で、ここにはマムやクリスタル、パルメイヤーといった魅力あるワインたちが登場しています。なかでも「ソフィーの選択」の『シャトー・マルゴー』は素晴らしい存在感です。
●五感で楽しむワイン講座
『ワインアカデミー』はホテルオークラが昨年から開始したワインスクールです。同ホテルの渡部明央チーフソムリエが主任講師をしており、講師陣にはワイン界の大御所山本博氏、塩田正志氏、農学博士の清水健一氏ほか、ユニークなキャラの面々が揃っています。テイスティング時にホテル自慢の料理が教材として供出され、それらを楽しみながら学習できるというのも魅力です。
「映画とワイン」の講座では、拙著『おいしい映画でワイン・レッスン』に登場する作品やその他、私がいくつかの媒体に書いてきたコラムの中から題材を選び、そこに登場するワインを味わっていただくのですが、ワインが登場する映画のシーンを実際に見ながらお楽しみいただけることが最大の売り! 機材が充実しているホテルオークラならではのカリキュラムであり、視覚、聴覚、嗅覚、味覚を刺激できる面白さがたっぷり詰まっています。
●『シャトー・マルゴー』の知名度を上げた「失楽園」
『シャトー・マルゴー』の知名度を上げたのは、渡辺淳一氏の小説『失楽園』でしょう。当時の様子を知り合いの酒販店のマダムは次のように語っています。「ある日、失楽園のワインをくださ〜いと言って若い男の子が来店したので、セラーからワインを出して値段を言うと、相手はびっくりして、そんなに高いの? で、このワインって、赤なの、白なの?」
日本列島が“マルゴー狂騒曲”に踊らされていた時代の話です。ちなみに、シャトー・マルゴーはフランスのボルドー地方メドック地区マルゴー村で産出されるワイン。同国のワイン法では赤ワインの生産しか認められておりませんので、答えは“赤ワイン”ということになります。
●「ソフィーの選択」が描写した“天上の楽園”で飲むワイン
メリル・ストリープが1982年にアカデミー主演女優賞を獲得した「ソフィーの選択」に、『シャトー・マルゴー1937』が登場します。ホロコーストをテーマにしているので重い印象なのですが、シャトー・マルゴーの本質を的確に表現した映画だと思っています。
第2次大戦中ナチスによる迫害を受けたポーランド系ユダヤ人のソフィーは心身ともに疲れ果て、戦後アメリカに渡ります。詩集を調べるため図書館通いをしていた彼女はある日、栄養失調による貧血で倒れてしまい、自称生物学者のネイサン(ケビン・クライン)によって救われます。彼はソフィーのために鉄分の多い食事を作り、“特別の日だから、特別のワインを”と言って『シャトー・マルゴー1937』を用意します。
ワインの芳香に包み込まれながら、心地良い安堵感を覚えるソフィー。その彼女がワインをひとくち飲んでつぶやくセリフが、「もしこの世で……この世で聖人のように清く生きて、そして死んだら、天上の楽園で飲ませてくれるのはこのワインよ」
●シャトー・マルゴーの2001年、2004年ヴィンテージ
3夜連続のシャトー・マルゴーのテイスティングは講師の役得でした。ミレニアムの年、最良の年といわれた2000年に続く「2001年」はクラシックな印象で、グラスから漂う凝縮した果実の香りと口中にふわ〜っと広がる繊細なテクスチュアは、ソフィーのセリフに重なるものがあります。とても包容力があるワインだと感じますし、個人的にも2001年ヴィンテージは好きです。
つい先日、ボルドー地方から「ユニオン・デ・グラン・クリュ・ド・ボルドー」の86シャトーのオーナーや輸出担当らが来日し、2004年ヴィンテージのテイスティングを行ないました。シャトー・マルゴーの関係者は残念ながら来ておりませんでしたが、いくつかのブースに寄り、伺ったところ、皆さん、口を揃えて「果実味豊かで良いヴィンテージですよ〜」と語っていました。
ワインアカデミーで試飲したシャトー・マルゴー2004年は、まだ樽の影響が出ており、鉛筆の芯の香りや樽由来の甘さがあります。タンニンや酸味は豊かで、若干ロースト香も感じます。異常気象といわれた2003年は糖分と酸味のバランスが難しい年でしたが、2004年は落ちついた印象の年という気がします。
観てから飲むか、飲んでから観るか……講座生の皆様にはどちらも体験していただきました。今度は是非、「ワインの歳時記」の愛読者で、かつ映画に興味のある方にご参加いただきたいと思っています。
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