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ワイン・シーズンを美味しく愉しむ

ミシュランが選んだ世界一の美食都市“東京”と“ナパ”との違い

2009年11月25日

  • 筆者 青木冨美子

写真世界一を誇る東京の11名の三つ星シェフ@東京都庁写真ボリューム感たっぷりのトマトスープ@ビストロ・ジーンティ写真落ち着いたたたずまいの一つ星『レッド』写真ドメーヌ・シャンドンのレストラン『エトワール』での楽しみはオリジナルの泡もの選び写真ユズを使って味付けをしていた一品@フレンチランドリー写真和食では器もご馳走@石かわ

 先日、3回目となる『ミシュランガイド東京』がリリースされましたね。ミシュランはレストランを星の数によって格付けすることで知られています。

■東京は世界が認めるグルメの都

 同ガイド東京2010年版で獲得した星の数は累計で261、レストラン・料理店の総数197、三つ星レストランの数も11となり、世界最多。名実ともに東京は世界一の美食都市となりました。

 一方、カリフォルニアのナパは同ガイド『サンフランシスコ ベイ・エリア&ワイン・カントリー』に属しており、10月21日発刊の2010年版で、『フレンチランドリー』は4年連続三つ星、モエ・エ・シャンドン社がナパに進出して興したドメーヌ・シャンドンのレストラン『エトワール』は一つ星をゲットしています。

■自腹なら、お薦めは一つ星の『レッド』

 11月初旬に行った3日間のナパ滞在ではヨントヴィルにある『ヨントヴィル・イン』に連泊していました。とても雰囲気あるホテルという点に加え、星付きレストラン探索には絶好の立地条件で、徒歩圏内で動けることが最大の決め手になりました。

 徒歩10分以内にある『ビストロ・ジーンティBistro Jeanty』は昨年まで一つ星、今年は星を落としています。ラフな服装の地元客と観光客が入り混じる活気あふれるレストランで、料理はフレンチですが量はアメリカ仕様。ボリューム感たっぷりのメニューばかりが多い中で、同店自慢のトマトスープはホッとする味わいで、女性でもたいらげることができました。

 5分の距離にある一つ星『レッドREDD』は人気のレストランで、19時頃には満席状態。ワイドショー系キャスターの食事風景を取材しているところに出くわしましたが、店内はドレスアップ組とカジュアル組が混在。各料理の味わいはバランスも良く、ホールのサービスも丁寧、料金も良心的でした。「評判の良いお店」という話はナパ訪問前から聞いていたのですが、まさにレッドはその通り、お薦めの星付きレストランです。

 ドメーヌ・シャンドンは敷地内に入ってからレストランまでの距離が長い、長い! でも道路を渡れば行ける圏内です。今年一つ星を獲得した『エトワールEtoile』で、『ブリュット・ヴィンテージ1995』をオーダーしたところ、ソムリエ氏から「最後の1本です」のお返事が。ピノ・ノワール69%、シャルドネ30%、ピノ・ブラン1%がブレンドされたスパークリングは、へーゼルナッツやコーヒーのような熟成香が魅力的で、思わず「もう1本ないのですか」と聞いてしまったほどです。ここではワイナリーだけで生産しているオリジナルスパークリングがあるので是非トライを。ディナーより、カリフォルニアの青い空を感じながらのランチのほうがお薦めできます。

■ナパと東京の星付きレストランの違い

 スペインのエルブリに次いで予約が取れないお店と言われていた『フレンチランドリーFrench Laundry』での初体験は4年前で、ミシュランガイド・サンフランシスコ版が初リリースする直前でした。ナパ在住の輸入元社長の手引きで、幸いにもディナー席が確保できたのですが、当時のメモを見ると10名の参加で、ひとり512.50ドル(為替は1ドル=121.62円)!! 最初に出た同店のスペシャリテ、トリフ味の“ウッフ・シュルプリーズ”には感激しましたが、あとは料理の味わいと支払額のアンバランスさが印象に残っただけでした。

 そして今回、参加メンバーから「フレンチランドリーに行きたい!」というリクエストが出て……。「まあ、ランチなら」ということで話を進めたところ、曜日&人数の制約はありますが、今ではオンライン予約(Open Table)も可能で、運が良いのか悪いのか(笑)、お仲間のNY在住のCEOのおかげで簡単に予約が取れました。

 料理はシェフのテイスティングメニューとベジタリアン用のテイスティングメニューで昼も夜も240ドル(サービス税込)。前回の記憶を払拭すべく、野菜メニューをセレクトし、気分も新たに挑戦。でも、最初のシャンパン(エグリ・ウーリエ ブリュット・トラディション)とマリアージュしたのは“Matsutake Mushrooms(松茸、松の実、カブ、水菜などにユズで味つけした料理)”だけ。2コースともに9品出ましたが、味わいに疑問を感じながらの食事になってしまい、ホール担当のひとりが強烈な香水をつけていて作業をするたびにニオイの洪水だったことも気になりました。ちなみに、6名の参加でワイン2本と料理とチップで、自己負担分は391.45ドル(為替は1ドル=90.45円)です。

 フレンチランドリーでもユズや松茸を使っていましたが、世界のシェフたちは和の素材“山椒”や“ワサビ”などにも注目しており、海外のワイン関係者たちは、和食の美しさ、繊細さ、ヘルシーさを絶賛しています。私が東京の星付き和食店から感じるのは全体を構成している、その統一感です。それは素晴らしいものです。残念なことに今回三つ星の『フレンチランドリー』で感じた香水は、レストラン全体の統一感を損なうものであり、料理自体の味わいも各素材が違う方向を向いており口中でバランスの良さは感じませんでした。

 もう1つ、ミシュランの出版パーティーで同ガイドの総責任者ジャン・リュック・ナレ氏が「フランスはフランス人、イタリアはイタリア人、日本なら日本人というように現地の覆面調査員が調査にあたっています」と強調していましたが、人種による味覚の違いもあるのではないかと感じました。料理人も調査員も日本人の味覚は相当高水準だと思います。

■この回のお薦めは“旬の味覚”、ボージョレ・ヌーヴォーで

 11月第3木曜日はフランス産新酒ボージョレ・ヌーヴォーの解禁日でした。昨年より減少していますが、輸入量はこちらも世界一。2009年ヴィンテージは前評判通り良い出来で、果実の味わいが豊かで美味しいと思います。ということで、今回はボージョレ・ヌーヴォーをお薦めしておきます。

【お薦めアイテム】

  • ミシュランガイド東京2010

【お薦めワイン】

  • ジョルジュ・デュブッフ ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー セレクション・プリュス
  • ドルーアン ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー
  • アルべール・ビショー ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー ノンフィルター
  • ルイ・ジャド ボージョレ・ヴィラージュ・プリムール
  • ルイ・ジャド マコン・ヴィラージュ・プリムール

プロフィール

青木冨美子(あおき・ふみこ)

NHK、洋酒メーカーを経て、現在フリーランス・ワインジャーナリスト
2009年5月シャンパーニュ騎士団「シュヴァリエ」受章
ワイン本の執筆や監修、企業向けのワイン講師。『昭和女子大学オープンカレッジ』、『ホテルオークラ ワインアカデミー』専任講師
1999年3月から2006年3月まで(社)日本ソムリエ協会理事。2003年3月から2009年3月まで、機関誌『Sommelier』の3代目編集長として活動。
著書に『おいしい映画でワイン・レッスン(講談社)』、執筆協力『ワインの事典(柴田書店)』、監修『今日にぴったりのワイン(ナツメ社)』など。2008年11月にリリースした『映画でワイン・レッスン(エイ出版社)』好評発売中!

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