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日本料理一年生


辻調の日本料理の先生たちにも、調理師一年生の時代がありました。どんなに教え上手の先生も、一年生の時には分からないことだらけで、失敗もたくさんしたのです。そんな時代を振り返り、「日本料理一年生」のみなさんに、できるだけ分かりやすく、本物の日本料理について解説してみようと思い立ちました。「こんなにおいしいものが自分で作れるのか!」という新しい発見と喜びがきっとあるはずです。

8時間目 天ぷらを揚げる

2007年11月16日

 日本料理には原則として5つの調理法があります。お造りのような「生」、「焼く」、「煮る」、「蒸す」、そして今回お話する「揚げる」です。「揚げる」という調理法は、油を使って材料に火を通すというもので、長い日本料理の歴史の中でも庶民が日常的に口にできるようになったのは、江戸時代中期になってからという、比較的歴史の浅い調理法といえるでしょう。

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油の温度は、天ぷらの衣を箸の先につけて油の中に落とし、確認します。魚介類を揚げる適温は、衣が少し沈んで浮き上がってくる175〜180℃

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てんぷらにつけて食べる塩はすり鉢ですっておくとよいです。これはすり鉢でする前の塩の粒子

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すり鉢ですった後の塩の粒子

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かき揚げの衣の理想的な量

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天ぷらのレシピはこちらから

 それまでは、貴重な油を大量に使う「揚げ物料理」は庶民の口には入らない高級な料理であったと考えられます。ちなみに、一説には徳川家康は鯛の天ぷらを食べて食中毒になって亡くなったといわれます。(胃がんであったという説も有力ですが…。)

 さて、油には、ラード(豚の脂)やヘット(牛の脂)といった動物性の脂と、ごま、菜種、綿の種子、とうもろこしなどから作る植物性の油があります。日本料理では主に植物性の油を、その特性を考えながらブレンドして使います。

 さて、みなさんは、「サラダ油」と「天ぷら油(白絞油)」の違いはご存じですか。そうです。サラダに使うのが「サラダ油」で、天ぷらに使うのが「天ぷら油」です。単純なようですが、ここからが大事です。「サラダ油」は、加熱せずに使っても大丈夫ですが、「天ぷら油」は精製の度合いが低いため、加熱しないとお腹をこわしてしまいます。だから、「天ぷら油」はサラダのドレッシングには使えませんよ。十分注意してください。

 「天ぷら」という言葉にも要注意です。以前、東京校の卒業生が大阪に就職したての頃、先輩から「今日の夕食のおかずは『天ぷら』やで!」といわれ、「海老の天ぷら」を想像して楽しみにしていたら、出てきたのは「揚げはんぺん」でがっかりした。という話を聞いたことがあります。関西人は、ごく普通に「揚げはんぺん」を「天ぷら」といいます。「ごぼう巻き」は「ごぼてん」、「薩摩揚げ」を「平天(ひらてん)」といいますから、関西に来られた時は注意してください。

余談ですが「天ぷら」はポルトガル語の「調理する」という意味のtemperoが語源になったといわれ、南蛮貿易でやってきたポルトガル人から伝わった調理方法だという説があります。

 「天ぷら」は揚げ物の種類としては、「衣揚(ころもあ)げ」です。その他揚げ物の種類には、ごまやあられなどの乾物類を衣にした「変わり衣揚げ」、材料に何もつけずに揚げる「素揚げ」、材料に小麦粉や片栗粉などをまぶして揚げる「から揚げ」があります。 家庭の主婦が、自分で作りたくない料理の一番は「揚げ物」だそうです。理由として、油汚れの後片付けが大変、熱した油に材料を入れるのが怖い、揚げ終わると胸が一杯になって食欲がなくなるなどがあるようです。確かに面倒なこともありますが、若林先生の作り方を十分に勉強して、ぜひ、天ぷら作りにチャレンジしてみてください。

 天ぷらは揚げたてが一番おいしいのです。ポイントさえおさえて作ったら、家庭では一番おいしい状態で提供できる環境が整っているといえるでしょう。


プロフィール

小谷 良孝(KOTANI YOSHITAKA)
辻調グループ校 日本料理教授。在タイ経験が長いので、タイ語での日常会話はできますが、正式に勉強したわけではありません。仕事上どうしても必要に迫られた上で覚えた小谷流なので、読み書きはできません。タイにいたおかげで、辛い料理は得意です。タイ料理はじめいろんな香辛料を使った料理が大好きです。
(特徴)体型・丸い、人相・こわい、音声・大きく甲高い、手足指・太短い、性格・喜怒哀楽が激しい

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