辻調の日本料理の先生たちにも、調理師一年生の時代がありました。どんなに教え上手の先生も、一年生の時には分からないことだらけで、失敗もたくさんしたのです。そんな時代を振り返り、「日本料理一年生」のみなさんに、できるだけ分かりやすく、本物の日本料理について解説してみようと思い立ちました。「こんなにおいしいものが自分で作れるのか!」という新しい発見と喜びがきっとあるはずです。
2008年9月12日
これが「筏揚げ」です。どこかで見たことありませんか?
かれいのから揚げ レシピはこちらから
今回は、揚げ物の2回目「から揚げ」です。「から揚げ」は材料の表面にでんぷん質を多く含んだ粉(主に小麦粉や片栗粉)をまぶして、材料のうま味を油に逃さないように閉じ込めて揚げたものをいいます。料理店のメニューには漢字で「唐揚げ」や「空揚げ」などと書かれています。この違いについて、「唐揚げ」は、材料に醤油などで下味を付けてから揚げたものをいい、「空揚げ」は、材料に下味を付けずに揚げて、うまだしやポン酢といったつけだれに浸して食べるものをいうという説も聞いたことがありますが、他にも解釈がありますし、区別はないという説もありますから、ひらがなで「から揚げ」と表した方がよいかもしれません。
今回の「かれいのから揚げ」は、次のようにいろいろな調理法があります。
1.うろこと内臓を取り除いたかれいに、粉をまぶして姿のまま揚げる。
スーパーの惣菜売り場でよく見かけるもので、誰でも簡単に作れるごく一般的な方法です。頭や骨がついているので、食べるのに少し手間がかかり、骨は食べられません。
2.うろこと内臓を取り除いたかれいを、頭をつけたまま五枚おろしにし、身と、頭がついたままの骨を別々に揚げる。
「五枚おろし」とは、かれいやひらめのように、体形が平たく、身が薄い魚に向くおろし方です。骨は、かれいが跳ねたような形に曲げて竹串で頭と尾を留めて舟の形にし、粉をまぶして低温の油でじっくり揚げます。身の方は、腹骨を取り除いて粉をまぶし、表面はパリッと中はしっとりとなるようにやや高温で手早く揚げます。舟形の骨に、身が乗っているように盛り付けます。これを「筏(いかだ)揚げ」といい、料理屋での「見せる料理」としての方法です。尾頭がついて見栄えがよく、骨も食べられますが、頭や中骨はかたくて食べられません。
3.かれいのうろこ・頭・内臓を取り除き、五枚おろしにする。骨の部分は、太くてかたいものだけ取り除き、食べやすい大きさに切る。身と骨をそれぞれ揚げる。
骨は低温の油でじっくり揚げます。身は、腹骨を取り除いて粉をまぶし、表面はパリッと中はしっとりとなるようにやや高温で手早く揚げます。骨の部分と身の部分を盛り合わせます。今回、若林先生が作った方法で、身も骨もすべて食べられます。
こだわりのある料理屋では、時と場合を考えてそのシチュエーションに応じた方法で提供しますが、1のようにうろこと内臓だけを取り除いて揚げることはあまりありません。皆さんも若林先生のレシピをよく見て、五枚おろしに挑戦し、「かれいのから揚げ」を作ってみてください。魚がグタグタになっても、骨に身がいっぱいついても気にしてはダメです。チャレンジすることに意味があります。がんばりましょう。
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辻調グループ校 日本料理教授。在タイ経験が長いので、タイ語での日常会話はできますが、正式に勉強したわけではありません。仕事上どうしても必要に迫られた上で覚えた小谷流なので、読み書きはできません。タイにいたおかげで、辛い料理は得意です。タイ料理はじめいろんな香辛料を使った料理が大好きです。
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