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教えてランチ
教 え て ラ ン チ

〈教えてランチ〉気軽なバルに南欧の風

2009年5月1日

  • 東京・銀座 「銀座屋台バル」

写真春風にあたりながら、テラス席でゆったり写真外が見えて、気楽に立ち飲み、立食もできる写真出入りも気軽な開放的な店内写真パスタランチのボロネーゼ・スパゲティ写真生ハムとチョリッソの盛り合わせ海老のオーブン焼き

 銀座の一角に、ちょっと南欧風の空間がある。じっと目をつぶって、ニースやカンヌの光景に思いをはせる。と、気分が出ようというもの。ここ「銀座屋台バル」は、名の通り、ヨーロッパのバル(「バール」とも)を模した半オープンテラスの店構えで、今、春風が心地よい。(アサヒ・コム編集部)

 交通量の多い昭和通りから50メートルほどだろうか、ちょっと入ると、車の音も気にならず、さざめき程度に聞こえる。バーカウンターには、グラスが逆さにぶら下がり、きらめく。その両脇に客席がある。

 店正面に向かって右側はスタンド形式。丈の高いテーブル7個に椅子11脚があるが、夜には立ち飲み、立ち食いの客も。歩道にはみ出して歓談する姿も珍しくない。反対側は、落ち着いて座れる席。テーブル6台、いす23脚。床もテーブルもいすも木製。天井からは、小さなランプが温かな光を放つ。どちらの側も透明のビニールシートで風を防ぐ。ざっくりしたむき出しの感じは、1人で入っても肩が凝らなくていい。店の前にある銀座の柳がゆったり揺れる、ちょっとけだるい春の午後に店を訪ねた。

 店は夜も営業しているが、ランチタイムはパスタセット3種で回す。訪ねた日は、ツナクリームとトマトとモッツァレラ、ひき肉(ボロネーゼ)。以前に食べたトマトとモッツァレラのスパゲティは、ちりちりとちりばめられたチーズもトマトも、どちらも主張し過ぎずおくゆかしい。その分、めんのコシが引き立つようだった。今回はボロネーゼを食べてみる。見た目はコンパクトだが、ギュッと盛られていて、実はボリューミー。パルミジャーノ(パルメザン)もフワリとミルキー。ひき肉は口にも胃にも重たくない。

 以下は、夜メニューの品々だが、午後2時から出してくれるので、遅めのランチも楽しめる。

 生ハムとチョリッソ(スペイン風サラミ)の盛り合わせを食べる。むしったようにざっくり切った生ハムは、ずいぶんと濃厚な味。埼玉県坂戸市で31年間、生ハムを作り続けている“尾島さんの生ハム”なのだそうで、店に張られた宣伝文句には「ローマ時代から伝わる『塩だけで作る生ハム』」とあり、着色料、化学調味料は一切使っていないそうだ。

 アンチョビ風味のポテトサラダは、ひんやりしてもアンチョビはうまい。粉ふきいものようなじゃがいもならではの風味が生きている。あつあつの海老のオーブン焼きは、ぷりっぷり。辛みも増して、汗ばみそう。ほかに、ムール貝のオーブン焼き、モロッコ風豚のスパイス焼き、マッシュルームのアンチョビオイル煮など。

 この日、和服姿の品のよいおばさま二人連れや、いかにもキレ者風のイケメンビジネスマン、イヤホンを耳に読書にふける20代らしい女性など客層は多彩。土地柄、クリエーティブ系の人も多いとか。ともあれ、みなさん、心に余裕があるとお見受けした。

 お店の代表の野崎美江さん(43)に聞けば、ヨーロッパ、特にスペインのバルを意識した。野崎さんは建築設計が本業で、インテリアのコーディネートもする。01〜07年にパリで暮らし、建築やデザインを学んだ。

 「向こうでは、設計に対するアプローチを学びました。自分の発想がどう生まれ、どう固まったかという過程を大切にすることを知りました」。授業では、例えば、パリの地下鉄についてプレゼンテーションする場があった。においや空気の感じを含め、五感を駆使しなければならなかったという。

 「マルシェ(市場)の近くで、たるからワインを売ってくれる気取らない店があった。ヨーロッパのカフェやバールを意識すると、つい気取っちゃうじゃないですか。それで、借り物っぽくなってしまう。うちは、まず店の内と外、店内と歩道の境をなくしたくて、オープンな形にしました」。とはいえ、「店と歩道の段差をなくすことには、お客さんの方に少し抵抗があったようです」。そこで、店の床を路上より約30センチ高くした。ぶらっと寄って、一皿つまみ、一杯ひっかけて、ぶらっと帰るより、「ちゃんと」感がほしいのか。

 「おいしい料理やワインが安く楽しめる。昼から軽く飲めるし、ちょっとした立ち飲み、立食のパーティーもできる。それが、この店のモットーです」と野崎さん。夜のメニューには、スペイン産を中心に各種ワインをそろえている。ランチもいいが、この店の素顔は、ランプの明かりの中で人々がさざめき合う夜に見える。店長の松田良樹さん(36)はバーテンダー歴約10年。黙々と動きつつ、ときおり向けてくる視線と笑顔は温かい。客との距離感、間合いが心地よいのは、さすが。


お店情報

■ランチメニュー

パスタランチとして3種類。ツナクリーム、トマトとモッツァレラチーズ、ひき肉(ボロネーゼ)など。サラダ、パン、コーヒーか紅茶がついて800円。大盛りは200円追加。午前11時半から午後4時まで。

■住所

東京都中央区銀座1−20−10。午前11時から午後11時まで。日曜・祝日休み。電話03−3567−4777。

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