食ニュースビンテージ日本酒造り 知恵搾り味追求 欧州からも注文2008年05月22日 岐阜市郊外で江戸末期に創業した白木恒助商店は、最近の年間生産量は約3万リットルにとどまる。ところがその10倍近い28万リットルもの在庫を抱えている。通常の企業であれば、過剰な在庫は資金繰りが苦しくなる原因。「会計ソフトに在庫量を入力するとエラーが出るし、会計士からも『この量は何なんですか』と怒られる」(同商店)という始末だ。
しかし、この在庫に秘密がある。実は同社は、ワインと同じように熟成させた「ビンテージ日本酒」に取り組んでいるのだ。蔵に眠る日本酒は「財産」。最近はその価値に目を付けた政府系金融機関から「熟成中の日本酒を担保に融資できます」という話もあるほど評価が高まってきた。 日本酒の雑味は、アミノ酸成分でもある。精米歩合を高くした吟醸や大吟醸といったすっきりとした酒が好まれる時代だが、同社は熟成でうまみを引き出すために、米にたんぱく質が多い部分をわざと残して仕込むこともある。 日本酒には元々、長期熟成文化があったが、明治維新以降、酒税の徴収が厳格化され、生産段階で課税されるようになった。酒造メーカーは税金支払いの資金を確保するため、出来た酒を保管せず、すぐに売ってしまうようになった。戦後の税制変更で熟成が見直されるようになった。80年代半ばに同商店をはじめ、メーカー数社が熟成の研究会を始めた。 同商店で営業を担当する白木滋里さん(40)は3人姉妹の次女で、5代目の祖父にかわいがられ、小学生の頃から日本酒をなめて育った。「熟成酒の希少性がブランドになる」と気づき、数年前から本格的に販売に取り組んできた。昨年末からは、その鋭い味覚を生かし、味を批評しながら、仕込んだ年ごとにラベルを張った小瓶に詰めて売り出した。 「古い酒の大切さを分かった上で売ってもらいたい」と昔から付き合いがある地酒専門店との取引がほとんどだが、最近ではうわさが広がり、欧州からも注文が入る。売り上げの半分がビンテージという経営戦略も描くが「あんまり売れても、貯蔵してある在庫がなくなっちゃう」というのが悩みだ。 食と料理
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