2002年9月。玉置武史さん(51)が営む三重県名張市赤目町のホテル「アカメグリーンビレッジホテル」の調理場で、ふっくらした忍者のオリジナルキャラクター「忍者福笑門(ふくえもん)」をかたどった新作まんじゅうが焼き上がった。サツマイモを練った生地でつくった。
「ぷぅ〜」。武史さんのおならが調理場に響いた。「このまんじゅう、ほんまに屁(へ)が出るわ。へこきまんじゅうやわ」。その場にいた妻の弘美さん(50)は笑っていたが、武史さんは口をついて出た「へこきまんじゅう」という語感にピンときた。
9月末の土曜日。新作まんじゅうの発売日だった。弘美さんは「スイートポテト風おまんじゅう」と名付け、売店「たまきや」に商品名を書いた看板を貼り付けた。「さあ焼くぞ」という時になって突然、武史さんが看板をはがし始めた。
「なにするのよ」。弘美さんの声に耳を貸さず、武史さんは近くにあった紙に油性フェルトペンで何か書いている。
「へこきまんじゅう」
「これに決めたから」と武史さん。たまきやを切り盛りする武史さんの母よう子さん(83)は「売る方の身にもなってよ。そんな名前で、お客さんを呼び込むのは恥ずかしいわ」。
もめているところに、3人の家族連れが通りかかった。「どんなんやろ。三つちょうだい」。ネーミングだけで焼く前から注文が入った。3人は焼きたてをほおばり、たまきやの先にある観光名所「赤目四十八滝」へ向かった。これを皮切りに、1日50個売れれば上出来と思っていたまんじゅうは約150個売れた。
まんじゅうを焼きながら、弘美さんはいつのまにか笑っていた。笑いで心もほかほかにしてくれる、この名前でまんじゅうを売ろう。そう決めた。(保坂知晃)
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