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諫早湾窒息 赤潮直撃しアサリ死滅 地元漁師「人災だ」

2007年09月01日

 諫早湾北岸の長崎県諫早市小長井(こながい)町で、養殖アサリが死滅する被害が起きている。県総合水産試験場によると、有明海で8月上旬から発生した赤潮の影響で海水の酸素濃度が低下したためとみられる。被害を受けた海域は諫早湾干拓事業で建設された潮受け堤防に近い。「堤防で潮流が弱まり、赤潮の被害も大きくなった」との指摘もある。地元の漁業者からは「天災ではなく人災だ」との声が上がっている。

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全滅したアサリ。漁師たちは大きなため息をついた=8月31日、諫早市小長井町で

 小長井町の海岸線。口を開けたアサリが一面に広がり、腐敗臭が漂う。足を踏み入れると「ザクザク」と貝殻が砕ける。厚さ10センチほどに積み重なっているところもある。地元漁業者は「腐敗臭が徐々に東に移動している。被害はもっと広がるだろう」と見る。

 沿岸に赤潮が広がったのは8月上旬。定置網のコノシロは全滅。被害が深刻だったのは沿岸一帯に広がる養殖アサリ。長崎県が8月26日に小長井町沿岸の12カ所を調査したところ、3カ所で全滅し、全体では4割が死んでいたという。

 小長井町のアサリの水揚げ量は05年度で271トン、水揚げ高は1億500万円。長崎県産の大部分を占めている。小長井町漁協では、組合員98人のほぼ全員がアサリ養殖を手がけており、漁協の全水揚げ高の6割以上を占める収入源だ。畑のように区画を分け、各漁業者が管理する先進的な養殖方法にも取り組んでいる。

 近くの漁師植木清治さん(51)は「補償もなく、どうやって生活していけばいいのか」と嘆く。

 小長井町は、潮受け堤防の東側。堤防の内側にある調整池から、淡水を定期的に排出する北部排水門の目の前だ。地元漁業者の話では、例年、夏場に淡水が排水された後に赤潮が発生し、アサリが死ぬことがあるが、これほどの被害は初めてという。

 同漁協理事の松永秀則さん(54)は「この夏は水温が高く赤潮が発生しやすい状態だったのに排水を繰り返したため、被害が大きくなったのでは。しかも堤防が出来てからは潮流が弱くなり、汚れた水が消えてくれなくなっている」と語る。

 長崎大学環境科学部の姫野順一教授(環境経済学)は「調整池から排出される汚れた水が海のバランスを崩し、特に排水門近くのアサリ漁場に大きな影響を与えたのではないか」と指摘する。

 一方、県は干拓事業との関連について、赤潮発生のメカニズムが解明されておらず、直接の原因とは断定できないとしている。

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