食ニュース【千葉】ブドウとお別れ 最後の収穫2007年08月10日 鋸南町立勝山小の各教室の前庭に、ブドウの実がたわわに実っている。34年前に植えられ、枝切りや施肥などを子どもたちが代々引き継ぎ、夏になると収穫を楽しんできた歴史あるブドウだ。ところが、新しい校舎が来春できるために伐採されることになり、10日、児童全員が最後のブドウ狩りをする。来年夏には新しい苗が移植される見通しで、次の歴史が作られていくことだろう。
学校はいま夏休み。鉄筋コンクリート平屋建ての校舎の各教室の前庭は、デラウェア種のブドウ棚で覆われていた。 今の校舎ができたのは、72年のことだった。「緑豊かな環境にしよう」とPTAが中心になって、敷地に樹木を植えることになった。 当時、県農業改良普及所で果樹技術員をしていた同町下佐久間、加藤武司さん(76)が相談を受けた。 加藤さんは思った。 ブドウ棚を作れば、夏は葉が茂り、強い日差しを遮る。日の短くなる秋から冬にかけては落葉し、教室に日が差し込んで暖かくなる――。 翌73年2月、加藤さんは山梨県から苗木18本を取り寄せ、児童や父母らが一緒になって各教室の前庭に植えた。 苗木はすくすく育っていった。 2年後の75年、地元の山から竹を切り出して、針金で組み上げて棚をつくった。 12月の枝切り・施肥に始まって、4月の新芽の固定、6月の間引き、梅雨明け後の水やり……。加藤さんの指導を受けながら、児童たちが一生懸命世話をした。 植えてから3年後、すべての棚で実を結んだ。 ブドウがたわわに熟するのは夏休みの時期。全児童が登校する日を作り、それぞれの教室の前でブドウの房を摘んで食べるのが恒例の行事となった。 加藤さんの長男の浩生(ひろお)さん(45)も卒業生。収穫の時、おいしそうにブドウを食べる息子の姿を加藤さんは今でも鮮明に覚えているという。その浩生さんの長女で孫の真有(まゆ)さん(8)も現在、同小2年生だ。 ブドウは収穫するとたくさん余る。児童が持ち帰ったブドウに、同小の卒業生の多い親たちは在校時の懐かしい思い出を重ね合わせて、家族だんらんのひとときを作ってきたという。 新しい校舎棟の起工式は先月25日にあり、来年4月末に完成する。その後、いまの校舎が解体されて、ブドウの木もすべて一緒に伐採されるという。 加藤さんは、今年1月の枝切りの際に一部を挿し木した。二世のブドウの木は、南房総市の渡邉裕一郎校長の自宅の庭で育っている。早ければ、来年夏ごろ、新校舎の近くに移植される見通しという。 10日午前9時10分から「ぶどう感謝の会」が体育館で開かれる。加藤さんは児童たちに同小のブドウの歴史を語り、二世の成長ぶりも紹介する。 この記事の関連情報 |