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【島根】魚介の横綱 攻め続ける

2008年01月07日

■出雲■

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出来上がったスズキの奉書焼きを盛りつける吉村日出国さん=松江市片原町で

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浜田漁港に今年初めて水揚げされたアジ。ご祝儀相場で次々と高値がついいた=6日、浜田市原井町で

宍道湖七珍 ―伝統の中に今風の技も―

 大国主命(おおくにぬしのみこと)は国譲りの交渉が妥結したとき、高天原(たかまがはら)からの使者をスズキでもてなした――。古事記にこんな記述がある。スズキはたいがい夏に調理される魚だが、出雲では脂がのる秋から初冬にかけてが旬といわれる。

 約120種類の魚介類が生息する宍道湖。スズキにモロゲエビ、ウナギ、アマサギ(ワカサギ)、シラウオ、コイ、シジミを加えた「宍道湖七珍」の料理は今も観光客の心を引きつけてやまない。スズキなら、奉書紙に包んで蒸し焼きにし、ポン酢で味わう「奉書焼き」が定番だ。

 七珍料理の世界に昨年7月、新風が吹いた。ホテル一畑(松江市千鳥町)で和食調理部長を務める中本喜代数さん(59)が、ごはんにスズキをのせた茶漬け「鱸(すずき)落とし」を考案。オリーブオイルで焼いたスズキの淡泊な味わいを、さわやかな梅おろしが引き立たせる。ヒントは数年前のイタリア旅行中につかんだ。「七珍料理は変化をつけられるので楽しい」

 そんな七珍に最近、異変が起こっている。照り焼きや南蛮漬けにされるアマサギの漁獲量が、89年の300トンから一昨年は1トンを切るまでに減っているのだ。

 「魚一(うおいち)の七珍料理」の商標を持つ料亭「魚一」(同市片原町)は10年ほど前、県外のアマサギを仕入れたことがあった。しかし、社長の吉村日出国さん(50)はむなしさを感じ、すぐにやめた。「歴史に裏打ちされて選ばれた七珍。地元産を出してこそ価値がある」

 吉村さんや中本さんら旅館や料亭の代表が集まり、90年、「松江郷土料理研究会」を結成。5年前から毎年冬のイベントで創作料理を発表している。素材で勝負する伝統の枠のなかで、今風の味を追求。粋な料理人たちの心意気が、七珍に新たな彩りを添える。

■石見■

どんちっち ―うまさの秘密 データに―

 6日、今年の初競りがあった浜田漁港。地元巻き網船が取ったアジ、サバなどが並んだ。昨年の漁港全体の水揚げ高は前年より約5億円多い約70億6700万円。関係者は、県外の船からの水揚げが増えたのに加え、売り出し中の地元ブランド魚「どんちっち」の浸透が大きいとみる。

 どんちっちにはマアジ、ノドグロ、カレイの3魚がある。全国にブランド魚は多々あるが、こちらの最大の強みは、品質がデータでしっかりと裏付けられていることだ。

 例えば代表選手のどんちっちあじ。これを名乗れるのは4〜8月に地元巻き網船が取り、糖度計を改良した機器で測って、脂質含有量が10%を超えたマアジだけだ。同じ時期、太平洋側のそれは一けたにとどまるが、浜田沖では20%を超えるものも少なくない。刺し身は舌の上でトロッととろけ、食通をうならせる。

 全国から魚介類が集まる東京・築地市場の関係者の間でも、「はずれがない」と評価はうなぎのぼり。市場関係者などでつくる「浜田市水産物ブランド化戦略会議」は、消費者の安心、安全への関心の高まりに応えようと脂質含有量だけでなく、船の名、漁場などもホームページ(HP)に載せている。

 浜田沖で取れた魚に脂がのる理由の研究も進む。県水産技術センター(浜田市)は、旬のマアジの胃から脂質の多いプランクトンを確認。えさのプランクトンが要因の一つとみている。

 同会議は05年度、農林水産省の「立ち上がる農山漁村」に選ばれた。「どんちっちの高い評価を浜田だけでなく、石見全体に広がるようにして、商品開発や売り上げ増につなげたい」。同会議の渡辺祐二・専門部会長は長期的な戦略を見据える。

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