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【東京】45年ぶり大森ノリ栽培

2008年01月10日

 かつて国内有数のノリ産地だった大田区の大森海岸で、45年ぶりにノリの栽培が始まった。人工海浜で海辺の風景がよみがえったのを機に、元生産者らが「子どもたちに郷土の歴史を教えたい」と取り組んでいる。研究資料や小学生の教材にするための実験だが、味やつやなど出来栄えは上々だ。

 大森東地区の「大森ふるさとの浜辺公園」にある人工海浜。昨年暮れ、沖合約100メートルに置いた網で初摘みがあった。

 収穫量は約20キロ。その日のうちに、たたいて刻み、水に戻してすいた後、天日で干した。あぶって試食すると、地元の海苔(のり)問屋のメンバーから「味と香りは絶品」との評も聞かれた。

 区によると、大森海岸はノリ養殖発祥の地とも言われ、大正時代、漁場面積は約126ヘクタール(1924年)と東京湾内で最大だった。しかし、62年暮れ、埋め立てや運河開削のために都内のノリ生産者は漁業権を放棄し、翌春を最後に収穫は途絶えた。

 昨年4月、昔の大森海岸をイメージして約400メートルの砂浜や磯、干潟を配置した「浜辺公園」が完成した。ここでイベントや清掃をしている「浜辺公園を育てる会」のメンバーから「ぜひノリもつくろう」と声が上がった。元生産者や海苔問屋、行政が中心になり準備を進めてきた。

 栽培している品種は、戦前まで主流だったアサクサノリ。多摩川河口に自生していることが2年前に確認され、そこで採取した胞子を佐賀県の有明海で種まで育ててもらった。「当時のノリが今の大森海岸で育つかデータを集めたい」と区の担当者。

 栽培にあたる田中宏さん(75)=同区大森東5丁目=は戦後の十数年間、ノリづくりに携わった。「今回採れたノリはとろけるような感触で、味やつやは昔と同じだった。この海でノリをやりたいとずっと思っていたので、感無量です」

 栽培は春まで続け、収穫したノリは地元の小学校の乾(ほ)し海苔作りの実習で使ってもらう。併せて、栽培の様子やノリの歴史を教えるという。

 同公園内に4月にできる区立海苔資料館の開館行事でも、採れたノリや生産工程、道具の紹介を計画。その後も栽培データを資料館に提供して研究や展示に活用してもらうなど、連携していく考えだ。

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