食ニュース【山梨】味よく健康的 銘柄ブタ開発2008年04月12日 おいしくて、歯触りが良く、早熟で、子だくさん――。こんな「ご当地ブタ」の開発を、県畜産試験場(中央市乙黒)が10年がかりで進めている。05年から交配を始めて、今は「三代目合成ブタ」。市場デビューは八代目の合成ブタが生まれる12年以降になる。新銘柄のブタは日本人の舌を魅了できるだろうか。
開発は02年度に県が発案し、始まった。総事業費は4億6千万円。現在、県畜産試験場が飼育している三代目の合成ブタは、250頭いる。昨年10月から12月の間に生まれた。 ■交配繰り返し 三代目の合成ブタのひいおじいちゃんとひいおばあちゃんは、純粋種のデュロック種とバークシャー種。デュロック種は、成長が早く、日本人好みの霜降り肉になりやすい。黒豚のバークシャー種は、筋繊維が細かくて歯切れがいい肉が持ち味だ。もともと、特長の「いいとこ取り」をするため、米国・アイオワ州から26頭、さらに宮城や愛知、宮崎など6県からの30頭も加えて、交配を始めた。 「健康志向の高まりから、適度に霜が降り、赤みのおいしさを感じられる肉質が好まれるようになる」。県畜産課が開発に先立ち、将来、日本人が好むと想定した豚肉だ。 新銘柄の誕生まで時間がかかるのは、同じ遺伝的特徴を持つブタが安定して生まれるようにするためだ。7世代ほど交配を繰り返す必要がある。市場に出回る頃、消費者の好みが変化していないかということも関係者にとっては気がかりな点だ。 県が誇る唯一のご当地ブタは、1990年にできた「フジザクラ」。赤身の肉が多く取れ、子どもを多く産む。フジザクラの血を引くブタは今も、年間1万頭が出荷されている。関係者は「ぜひフジザクラのように活躍するブタになって欲しい」と願っている。 ■ライバル多数 県内の養豚農家(07年2月)は31戸、飼育頭数は約2万頭で減少傾向にある。全国的には戸数で36位、頭数で40位と目立たない。日本食肉消費総合センター(東京)によると、ライバルは、255銘柄(05年3月)もある。さらに近い将来、新たなライバルになるかもしれないと言われているのが、クローン技術や遺伝子組み換え技術を使って改良されたブタの出現だ。隣の静岡県などでは、すでに研究を始めている。 山梨県畜産試験場の担当者は「クローンや遺伝子組み換え技術を使えば、何世代もの交配を待つ必要がなくなるかもしれない。だが費用もかさみ、実用化できる時期もわからない。今できるやり方で、おいしいブタを生みだしたい」と話している。(手塚絢子) この記事の関連情報 |