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【福島】桃産地の北限に異変 福島から秋田へ北上

2008年05月04日

 桃の産地が北上している。これまで主産地の北限と言われた福島県に代わり、秋田県が新たに名乗りを上げている。だが温暖化の影響とみられる晩霜の被害は各地で深刻さを増しており、産地間競争だけでない対策も求められる。東北の桃に何が起こっているのか。 秋田県北部の鹿角市。東北道のインターから車で10分ほどの小高い山間地に、佐藤一さん(58)の果樹園がある。整然と並んだ桃の木には、ふくらみかけたつぼみが連なっていた。全国で最も出荷が遅いとされる「北限のモモ」だ。

 この時期、畑では枝切りやつぼみを間引く「摘蕾(てきらい)」の作業に追われる。「今年は開花が早まりそうだ。作業を急がないと」と佐藤さん。リンゴの値が低迷し、約15年前に栽培を始めた。専門家には「気温が低く、秋田では無理ではないか」と言われたが、実が成熟する8月に日照量が多く、寒暖の差が大きいためか、実のしまりが良く糖度の高い桃ができるという。

 07年の秋田県内の収穫量は160トンで、1位の山梨県(5万4100トン)や2位の福島県(2万7800トン)などと比べると、まだわずか。だが、主力品種の「川中島白桃」は出荷時期が9月上旬〜下旬で他産地より約1カ月遅く、珍重されている。「リンゴのように日持ちしないのが逆に良かった」と佐藤さん。

 新たな「北限のモモ」の登場で、苦境に立たされそうなのは、これまでの「北限」の福島県だ。関係者は「秋田産の参入が進めば、晩生種として市場に出ていた福島産が圧迫される」と心配顔だ。

 温暖化の影響とみられるもので深刻なのは、4月末から5月にかけての晩霜だ。生育が早まった花芽が耐えられず結実できなくなるのだ。最悪だった02年度は福島県内では1億2千万円の被害が出た。

 「温暖化は止めることのできない流れ。自分たちで努力しなければ」。福島市飯坂町平野で桃など果樹専業の農家、小野敬子さん(69)は、気温の変化に応じて品種の検討をしたいと話す。20年前、主力品種の「あかつき」の収穫は8月10日前後。最近は約1週間早まり、お盆の贈答用としての出番が減って経営を直撃しているという。

 「先を読んだ対応が必要」と福島県農業総合センターの永山宏一専門研究員。注意が必要なのは晩霜だけではない。桃は収穫後の10月から翌春までに平均7.2度以下で800〜1200時間の休眠が必要とされている。

 暖冬になると休眠が十分取れず、発芽しない、枝が伸びないといった影響が出るという。このため、「温暖化がさらに進めば、逆に生育が遅れる」と永山研究員は話す。同センターは今年度から本格的に、気候の変化が桃に及ぼす影響について調査を始める。

 

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