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【長崎】「母の味」伊王島のぼんとう 伝統継ぐ

2008年05月08日

 ●珠ちゃん、おやつ再現 毎日20個、素朴さ人気

 長崎市の離島、伊王島に伝わる母の味がある。「ぼんとう」と呼ばれるまんじゅうだ。昔は家庭のおやつの定番だったが、今では作る人はわずかに。そんな中、島でパン工房を開く「珠(たま)ちゃん」こと本村珠子さん(60)が「伝統をつぶすわけにはいかない」と作り始めた。11日は「母の日」。懐かしい味を、おひとついかが。(伊東聖)

 窓から海が見える4坪の工房。珠ちゃんは、小麦粉1キロに生イースト、砂糖、塩、卵、水を加えてボールでまぜ、げんこつでこね出した。

 ボールをいすに置き、体重をかけて約30分、時折汗をぬぐいながらひたすらこねる。「こねればこねるほど生地がきめ細かく、なめらかになると」

 生地を1時間ほど発酵させる。あんこを包み込み、さらに30分寝かせる。蒸し器で10分ほどふかすと、ふっくらと膨れ上がった「ぼんとう」のできあがり。記者も早速いただいた。もちもちっとした食感。甘さが口に広がる。素朴な味わいだ。

 珠ちゃんは小さい頃、母の中村トシさん(86)が作ってくれるぼんとうが何よりの楽しみだった。他に甘い物がない時代。「1日に5個食べたこともあるとよ」。当時は、島のあちこちの家で作っていた。お盆の頃によく作ったのが名前の由来らしい。

 だが、手間がかかることもあり、出来合いの菓子に押されて、作る人はだんだんいなくなった。

 「このままでは田舎の良さが受け継がれずに埋もれてしまう」。そう考え、母の味を思い出しながら作ってみた。だが、こねる時間が短すぎたり、水加減がうまくいかずに固くなったり。試行錯誤を繰り返し、ようやく母の味に近付いた。

 今年1月、自宅の倉庫を数百万円かけて工房に改築し、パンと共に作って売るようになった。トシさんに「ばあちゃんが作りよったぼんとうば、私が頑張って作ってやるけんね」と言うと、トシさんは「へえ」と顔をほころばせたという。

 水曜以外の毎日20個作り、伊王島港のターミナル横にある「やすらぎのカフェおだやか」(電話095・834・9393)で1個150円で売っている。早いときには午前中になくなるほどの人気だ。

 珠ちゃんは「伊王島には、こんなおいしい食べ物が昔からあるんだと伝えたかった。母の味を私が受け継がなければ、一生後悔すると思った」と話している。

 

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