炭火で焼かれる国産ウナギ。仕入れ値は上がったが、値段は据えおく=東京都港区東麻布の「野田岩」、鎌田正平撮影
土用の丑の日を前に面積を3倍に広げたウナギの特設コーナー。売れ行きが振るわず、並べる商品の数は少なめ=岐阜県可児市のコープぎふ可児店
1年で最もウナギが売れる「土用の丑(うし)の日」商戦に異変が起きている。相次ぐ産地偽装の逆風などで、輸入が前年の3割に落ち込む一方、人気の国産は高騰。小売店や専門店も24日と8月5日の丑の日を控え、ウナギ離れを防ごうと懸命だ。
「1年の商売の3分の1はこの時期に集中する。例年、電話が鳴りっぱなしなのに今年はさっぱり」。都内のウナギ輸入会社の担当者は嘆く。
財務省の貿易統計によると、中国からのかば焼きなどの加工品の輸入は、昨年9月から今年5月までで約1万400トンと前年同期の約3万700トンの3分の1に激減した。昨夏の禁止薬物の検出に加え、中国製の冷凍ギョーザの中毒事件、悪質な産地偽装で風当たりが強まった。
国産は需要が高まり、値段が上がっている。首都圏で125店舗を展開する中堅スーパー「いなげや」は、昨年の鹿児島産980円を今年1280円に、静岡産1280円を1580円に値上げした。
東京・東麻布で創業160年余りの歴史を誇る老舗(しにせ)ウナギ専門店「野田岩」。5代目店主の金本兼次郎さん(80)は「今年は赤字覚悟で、従業員の給料が払えればいいぐらい」と嘆く。国産の仕入れ値は昨年より1キロ700〜800円値上がりしているが、2千円からのうな重などメニューの値上げは見送った。「お客さんは値段に正直。ウナギ離れの方がよほど心配」
イトーヨーカドーは予約販売の主力の国産うな重で、昨年は茶わん蒸し付きで1380円だった価格を今年は茶わん蒸しをやめて据え置いた。担当者は「国産が高騰しても、何とか値上げしないですむ努力をしている」と話す。
日本養鰻(ようまん)漁業協同組合連合会によると、ビニールハウスを維持する重油代、えさ代、天然の稚魚代も上がりコストを押し上げているという。
信頼回復にも工夫を凝らす。首都圏を中心に239店舗を出すスーパー「マルエツ」は6月下旬から、愛知県一色町の「一色うなぎ漁業協同組合」が発行した産地証明書を掲示。正真正銘の国産をPRしている。
同漁協を巡っては、台湾産が混入した輸入ウナギを一色産として販売していた半面、中国産を「三河一色産」に偽装する事件では産地を悪用された。マルエツ担当者は「うちの商品は偽装品ではないと安心してもらうのが狙い」。
日本養鰻漁協組合連合会は、育った池、使用した薬物や飼料、流通経路を消費者らがたどれるトレーサビリティー(生産履歴管理)の確立を各漁協に呼びかけている。
輸入業者は安全性のPRに懸命だ。30社が加盟する日本鰻(うなぎ)輸入組合は、中国産を消費者にアピールする40万枚のリーフレットを作成。台湾の養殖業者らは18日に都内で催しを開き、台湾は「露地池や太陽光を活用した自然体の養殖」と強調した。台湾の公的補助金5千万円も活用し、ブランド確立を目指すという。
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